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解決事例

住宅ローンの残った自宅を保持したまま、カードローンの返済を大きく減額できたケース


相談者は、妻と子供2人の4人家族で、持ち家で暮らしていた会社員でした。

ところが、仕事の付き合いなどをきっかけに過度に飲食費などを使うようになり、この支払いをカードローンやクレジットカードのリボ払いに頼るようになってしまいました。

カードの支払いが厳しくなってきてもまた別のカードを作ってしまい、飲食費を抑えることはできないままでした。

このようにして日々の支払いをごまかしながら過ごしているうちに、カードの負債額はどんどんと膨れ上がってしまい、気づけば500万円もの金額になっていました。

相談者は債務整理をするしかないと考えましたが、他方で、住宅ローンもまだまだ残っており、家族のためにも自宅が競売にかけられることは何とかして避けたいという思いでした。

いずれにせよこのまま放置すれば住宅ローンも滞納しかねないと思い、相談者は急いで弁護士に相談することにしました。

※守秘義務の関係上、適宜実際の事例を修正しております。

 


解決の流れ

 

相談者は弁護士と協議した結果、個人再生の方法をとった上で、「住宅資金特別条項」という制度を用いることとしました。

自宅を残したまま債務整理を行うにはこの方法が最善であると弁護士が判断しました。

相談者が、長年勤務を継続している会社の会社員であり、一定程度の安定収入があるという点も判断要素となりました。

その後、弁護士から各債権者へ受任通知を発送し、カードの返済についてはストップすることとなりました。

もっとも、自宅を保持するため、住宅ローンについてはこれまでどおりに返済を継続しました。

カードの返済をストップしたことで得られた金銭的余裕分については、再生申立費用の積み立てにまわすことになりました。この積み立ては、再生手続きに従って返済していくことが可能かどうかを判断するテストにもなります。

その後、弁護士とやりとりをしながら申し立ての準備を進め、裁判所に個人再生を申し立てることになりました。

申し立て後も、再生計画に従って支払えるかどうかを判断するための積み立てテスト(履行テスト)がありましたが、問題なく積み立てることができました。

裁判所によって無事に再生計画の認可決定がなされ、その結果、相談者は自宅を保持しつつ、カードローン等の返済については約100万円まで減額してもらうことができました。

 

弁護士のコメント

個人再生とは、大まかに言うと、裁判所に申し立てを行い、負債を大きく減額してもらった上で、返済を行う方法の債務整理になります。

個人再生の特徴として、まず、浪費が大きい場合にも、安定して再生計画どおりに返済できる見込みがあれば、利用可能という点があります。

自己破産の場合は、あまりに大きい浪費やギャンブルなどがあれば、利用できない恐れがあります。

このような場合にも、個人再生は利用できる可能性があるのです。

次に、個人再生における特殊な制度として、「住宅資金特別条項」というものがあります。

これは、生活にとって最重要である自宅を保持するための制度です。

自己破産や個人再生では、債権者平等の原則というルールがあります。

債権者への返済については、全債権者に対して平等に行わなければならないというルールです。

しかし、個人再生の手続きにおいて債権者平等の原則を貫くと、カードローンの負債だけでなく、住宅ローンも減額して返済することになります。

そうすると、自宅には住宅ローンの抵当権が設定されていますので、自宅が競売にかけられることになってしまいます。

そこで、債権者平等の原則を修正し、一定の条件を満たす場合には、住宅ローンについてのみ全額の返済をすることを許し、自宅が競売にかけられることを回避できるようにしたのです。

自宅を残したまま債務整理を行いたいという場合、住宅資金特別条項を用いた個人再生手続をぜひご検討ください。