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法律コラム

別居して相手が遠方にいる場合の離婚はどうすればいい?

2019年04月03日

単身赴任、転勤、地元が遠方などで相手が遠隔地に

夫婦で離婚の話し合いを行うとき、同居したまま話し合いを進めている夫婦もいれば、別居してから離婚手続きを進める夫婦もいます。

そして、離婚の手続きを進めたいけれども、相手が遠方に住んでいるというパターンも多くあります。

例えば、夫が単身赴任中である場合や、転勤先へ夫だけが引っ越した場合、妻が遠方の実家に帰ってしまった場合など、遠方になる要因は様々です。

相手が遠方の場合、離婚の手続きを進めようしても、話し合いの場を設けることすらなかなか上手くいかない恐れがあります。

また、子どもがいる場合、遠方の子どもと今後どのように交流を持っていくのかなどの問題も浮上します。

北海道の場合、相手が北海道外にいる場合はもちろん遠方ですが、北海道特有の問題として、互いに北海道内でも相手がかなり遠方になることが少なくないため、遠方になった時の離婚手続きを想定しておく必要があります。

 

どのような離婚の進め方が考えられる?

離婚の進め方は大きく分けると、①協議(交渉)、②調停、③訴訟(裁判)の3段階があります。

①協議が整わなければ、②裁判所で話し合う調停を行い、調停でも話がまとまらなければ、③訴訟(いわゆる離婚訴訟)での決着を検討するというのがおおよその流れになります。

それぞれの手続きについて、相手が遠方の場合、どのような対応が考えられるでしょうか。

①協議の場合、前述のとおり、話し合いの場を設けることすら困難という可能性があります。

その場合、対処方法の一つとして考えられるのは、弁護士に交渉窓口になってもらうことです。

夫婦間では感情的になってしまい、話し合いが進まない場合にも、法律の専門家である弁護士が代理人になることにより、話し合いが進む可能性は高まります。

そして、弁護士が行う交渉方法は、基本的に手紙や電話になりますので、相手が遠方の場合であっても、近場の相手の場合と同様に交渉を進めることができます。

もっとも、離婚成立の際に公正証書を作成する場合には、原則として夫婦どちらかの近くの公証役場へ赴く必要があります。

②調停の場合、調停は裁判所で行う手続きになりますので、夫婦のどちらに近い裁判所で手続きを行うかという管轄の問題が生じます。

原則として、調停は申し立てをされた側にある裁判所の管轄になります。

したがって、こちらから離婚調停を申し立てたいという場合、相手の近くにある裁判所で行うことを想定しなければなりません。

もっとも、電話会議システムによる調停への出席という方法もあります。

これは、遠方の裁判所で調停を行う場合であっても、自分の近くの裁判所にある電話を用いて、遠方の裁判所の調停委員とやりとりをする方法です。

弁護士に依頼すれば、その弁護士の事務所の電話により、弁護士と共に調停に参加することができます。

③訴訟の場合、通常、弁護士に依頼して対応することになると思いますが、調停の場合と同様に電話会議システムで参加する形になります。

調停と異なり、訴訟では弁護士だけが訴訟の期日に出席することになりますので、基本的には弁護士に電話会議の対応を任せることができます。

もっとも、尋問手続きを行う期日や和解成立の期日など、電話会議を用いることができず、弁護士がご本人と共に遠方の裁判所へ赴かなければならないこともあります。

 

婚姻費用や面会交流についても検討が必要

相手が遠方の場合、問題となるのが離婚の手続きだけとは限りません。

別居期間中の生活費(婚姻費用といいます。)のことや、別居期間中の子どもとの面会交流のことについても話し合いが上手くいかない恐れがあります。

特に子どもとの面会交流については、遠方であることを考慮した上で、現時的な面会交流の方法を模索する必要があります。

子どもと会う頻度や場所の検討だけでなく、間接的な面会交流の方法として、電話や手紙なども検討することが考えられます。

また、話し合いで解決できない場合、裁判所での調停手続きを検討することになりますが、婚姻費用や面会交流(別居中の面会交流)の調停は、離婚調停とは別の調停手続きとして取り扱われます。

これらの調停が同時に行われる場合には、同じ日時で同時に調停手続きを行うことが一般的ですが、事件としては別事件になります。

したがって、例えば、面会交流については調停が成立したけれども、婚姻費用については調停が不成立となり、審判手続きに移行したなどのケースも考えられます

また、婚姻費用については審判手続きに移行したけれども、離婚調停については不成立となった後、夫婦どちらからも訴訟が起こされないままであり、話が進んでいないということもあります。

このように、「離婚の話だけをすればいいと思っていたら、婚姻費用や面会交流の問題もあって手続きが複雑でよく分からない!」という事態が生じる恐れがあります。

特に調停や審判、訴訟の手続きを行う場合、適切に対応することが重要になりますので、まずは離婚問題に詳しい弁護士にご相談ください。