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法律コラム

離婚調停は自分で対応する?弁護士を立てるべき?

2019年08月23日

離婚調停を自分で対応すると、どんなリスクがある?

離婚の手続きには、協議、調停、裁判(訴訟)という3つの段階があります。

離婚調停とは、家庭裁判所で離婚に関する話し合いを行う手続きです。

話し合いをするといっても、夫婦が直接面と向かって話し合うのではなく、調停委員という男女2名の方にそれぞれ順番に話を聞いてもらう形式で話し合いを行います。

裁判との大きな違いは、離婚調停では、裁判所が判決を下すことは無いという点です。

あくまで夫婦双方の合意ができた時にだけ、正式な取り決めがなされることになります。

そうすると、判決が下されないのであれば、弁護士を立てなくとも良いように思われます。

しかしながら、離婚調停を自分で対応する場合、以下のようなリスクがあると考えた方が良いでしょう。

 

① 法的に有効な主張を見落としてしまうor主張の仕方が有効でない

離婚調停が話し合いとはいえ、目的も無く話し合うものではありません。

例えば、「慰謝料を請求したい」「より高額の養育費を求めたい」「財産分与の金額を下げたい」など、夫婦それぞれに希望があることが通常です。

ところが、調停を自分一人で対応している方の場合、自分の希望に近づけるために調停の場で何を主張すれば良いのか分からず、法的に有効な主張を見落としてしまうケースが多くあります。

また、法的には不要な主張を繰り返してしまう、自分の理屈ばかりを長々と主張してしまうなど、主張の仕方が有効でないケースも多くあります。

自分で離婚調停の対応をした場合、このような効果の乏しい主張を繰り返してしまい、不利な結果を招いてしまうリスクがあります。

 

② 妥当な解決策が分からないまま泥沼化させてしまう

離婚調停では、最終的に合意に達しなければ、何も決まらないまま手続きが終わることになります。

ところが、自分で離婚調停の対応をした場合、妥当な落とし所が分からずに感情的な主張を続けた結果、ずるずると手続きが長期化した上に、結局何も決まらないまま終了するというケースが多くあります。

法的に妥当な解決策や落とし所を踏まえた上で調停手続きを進めることが重要ですが、これを理解しないまま手続きを泥沼化させてしまうリスクあるのです。

 

③ 実は不利な内容なのに合意してしまう

妥当な解決策や落とし所が分からないと、不利な内容で合意してしまうというリスクも生じます。

離婚調停では、調停委員の方々が当事者双方の話を聞いてくれますが、当事者の味方(代理人)になってくれるわけではありません。あくまで中立的な立場です。

したがって、不利な内容にならないように裁判所が指導してくれるわけではないため、自分にとって不利な内容で合意してしまうリスクが生じるのです。

 

実は離婚調停よりも重要?婚姻費用分担調停とは

離婚調停よりも重要な意味を持つことがしばしばあるのが、婚姻費用分担調停です。

婚姻費用とは、別居期間中の生活費のことです。

「毎月◯万円」という取り決め方になりますが、子どもだけでなく、夫婦間の扶養義務も考慮された金額になりますので、養育費よりも高額になるのが通常です。

したがって、婚姻費用はとても重要な取り決め事項になります。

この婚姻費用を求めて家庭裁判所へ申し立てる手続きが、婚姻費用分担調停です。

婚姻費用分担調停の大きな特徴は、調停手続きで合意ができなくとも、自動的に審判という手続きに移行し、裁判所が決定を下すという点です。

離婚調停では裁判所は決定を下しませんので、この点で手続きが異なります。

そうすると、婚姻費用分担調停では、審判手続きに移行する場合に備えて、自分にとって有利な決定を裁判所に下してもらえるように、きっちりと法的な主張立証を行わなければなりません。

そのため、婚姻費用分担調停こそ、弁護士に対応してもらった方が良いケースが多くあるのです。

 

こんな事態になっていませんか?特に弁護士を立てた方が良いケース

弁護士を立てるためには弁護士費用が発生するため、この点で躊躇してしまう方も多いと思います。

しかしながら、以下のようなケースでは、特に弁護士への依頼をお勧めします。

 

①話し合いが円滑に進むとは思えない場合

夫婦が調停で話し合ったとしても、とても話し合いが円滑に進むとは思えない場合、早期段階から弁護士を立てることをお勧めします。

いわゆる「話にならない」状態の場合、離婚調停でもこの状況が続き、調停手続きが不必要に長期化・泥沼化する危険があるためです。

このような状態でも弁護士が介入することにより調停がまとまることは多くありますし、調停がまとまらない場合には裁判手続きで解決するという方針変更を検討することもできます。

もっとも、裁判で解決することが難しいケースもありますので、まずは弁護士へご相談ください。

 

②請求するor請求される金額が高額である場合

慰謝料や財産分与、養育費など、相手方に請求する、あるいは相手方から請求される金額が高額である場合、弁護士を立てるべきでしょう。

弁護士を立てないことで不利な結果になった場合、被る不利益が大きいためです。

弁護士費用の負担が生じるとしても、弁護士を立てたことで得られた利益の方が大きくなる可能性は高いため、費用対効果の観点からも弁護士に動いてもらうメリットが大きいといえます。

 

③相手方が弁護士を立てている場合

相手方が弁護士を立てている場合、法律や裁判例の知識量、主張立証能力、手続きの経験値など、多くの面で相手方との差が生じてしまいます。

そのことが結果に大きな影響を与えない可能性も無いわけではないですが、やはりこちらも弁護士を立てる方が安心でしょう。

 

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