離婚問題・交通事故・企業法務(顧問契約等)に強い、札幌とくみつ法律事務所


法律コラム

債務整理をするとどんなデメリットがある?

2018年12月26日

任意整理・自己破産・個人再生に共通のデメリット

①ブラックリストに載ること

金融機関が融資などを行う際に信用情報機関へ調査を行うのですが、「ブラックリストに載る」とは、この信用情報に債務整理や返済滞納で約束どおり返済がなされなかったという事故情報が掲載されることをいいます。

ブラックリストに載ることにより、しばらくの間、新たにローンを組むことや借り入れをすることが難しくなります。

もっとも、一生借り入れをすることができなくなるわけではありません。

借り入れの審査に影響するのはおおよそ5年〜7年程度と言われていますが、審査の厳しさも金融機関や借り入れ内容によりますので、より短い期間で審査が通ることもあります。

また、ブラックリストに載るのはあくまで債務整理を行なった本人のみなので、家族はブラックリストに載りません。

 

②保証人への影響(任意整理については事案による)

保証人がついている債務については、通常、債務者本人が債務整理を行なえば、保証人へ支払い請求がなされることになります。

保証人が存在する債務としては、例えば、奨学金や住宅ローン、事業資金融資などの事例が考えられます。

もっとも、債務整理の方法のうち、任意整理を用いる場合は、保証人の存在する債務については弁護士が介入しないという選択肢もあり得ますので、この場合は保証人へ影響を及ぼすことなく、債務整理を行うことが可能になります。

 

自己破産・個人再生に関するデメリット

①官報による公告

官報とは、国が発行する機関紙のことをいいます。

自己破産や個人再生を裁判所へ申し立てる場合、官報に氏名等が掲載される形で公告されることとなります。

これに対して、任意整理の場合は、官報に掲載されるということはありません。

もっとも、官報に掲載されたとしても、一般の方が官報を見ることはほとんどありませんので、日常生活に特段支障を生じないことが多いです。

 

②自宅や車などの財産を手放すことになる可能性がある

特に自己破産の場合、自宅などの大きな財産については売却して手放すことになる可能性があります。

もっとも、住宅ローンについて、個人再生の住宅資金特別条項という制度を利用することで、自宅を残したまま債務整理をすることができるケースも数多くあります。

車についても、ローンが無く、年式がかなり古いなどのケースで、保有したまま債務整理を進めることのできる場合があります。

 

③破産手続き中の資格制限

自己破産の方法をとる場合、破産手続き中、一定の仕事に就くための資格が制限されることになります。

一例としては、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、宅地建物取引業者、旅行業務取扱管理者、建設業などが挙げられます。

もっとも、資格が制限されるのは自己破産手続き中のみであり、破産手続き終了後は「復権」により、制限されなくなります。

このような自己破産の場合に対し、個人再生や任意整理の場合には資格制限はありません。

 

④破産手続き(管財事件)中の郵便物の転送、住居変更・旅行の制限

自己破産には、大きく分けて、「管財」か「同時廃止」のいずれかの手続きによることとなります。

破産管財人が選任される手続きを「管財」といい、破産管財人が選任されない手続きを「同時廃止」といいます。

破産管財人とは、破産者の財産や破産原因を調査したり、配当手続きを行ったりする弁護士です。

「管財」により破産手続きが行われる場合、破産手続き中(または破産手続きの途中まで)、破産者宛の郵便物が破産管財人へ転送されることになります。

また、「管財」手続きの場合、破産手続き中の住居変更や旅行については、裁判所の許可が必要になります。

 

デメリットだけに囚われると債務整理ができなくなってしまう

債務整理のデメリットについて述べてきましたが、デメリットにばかり囚われているといつまで経っても債務整理ができないままです。

債務整理は経済的に更生し、生活を再スタートさせるための手続きですが、債権者に迷惑をかける以上、一定のデメリットはやむを得ません。

デメリットに囚われて債務整理を先延ばしにすれば負債は膨らむ一方であり、債務整理がどんどん困難になるリスクがあります。

また、「デメリット」としてご説明しましたが、例えば、ブラックリストに載って一定期間借り入れができないということは、デメリットであるとは限りません。

今後借金に頼ることなく生活を再スタートするためのきっかけになってくれると捉えることもできます。

当事務所では、債務整理に関する初回無料相談を実施しております。まずはお気軽にご相談ください。