離婚協議で何が問題になるかをまず整理する
「離婚したい」と本格的に考えた時、子どものことやお金のこと、自宅や仕事のことなど、様々なことが頭に思い浮かぶと思います。
いずれも離婚後の生活にとって大事な事柄ですが、相手との離婚協議で特に何が問題になるかをまず整理する必要があります。
つまり、相手と揉めることが予想される点をまずは整理すると良いでしょう。
子どものことであれば、親権がどちらになるのか、親権者ではなくなる親の子どもとの面会交流はどうするのか、養育費はどうするのかなどです。
お金のことであれば、財産分与はどうするのか、年金分割の必要はあるのか、慰謝料請求の可能性はあるかなどです。
また、別居後、離婚が成立するまでの生活費(婚姻費用)も重要な問題です。
クレジットカードの家族カードを作っているというケースも多くありますが、これをどうするかという問題もあります。
財産分与については、自宅をどうするのか、まだ残っている住宅ローンをどうするのか、自宅が夫婦共有名義になっている場合はどうするのかなど、自宅の問題にも派生します。
将来発生が予測される退職金も財産分与の対象となる可能性があるため、この点も検討事項になります。
そして、そもそも相手が離婚に応じるかどうかという点も検討しておく必要があります。相手が離婚に応じてくれない場合にどう対処するかということも考えておかなければなりません。
このような様々な検討事項のうち、相手との離婚協議でどれが問題になるのかということをまず整理する必要があるのです。
収入や財産を把握しておくことが重要
離婚協議を進める中で、お金のことを全く考えなくて良いというケースはまず無いでしょう。
したがって、ほとんどのケースで、夫婦の収入や財産を把握しておくことが重要になります。
「お金のことは妻に全て任せているので分からない。」「夫の収入はよく知らない。」とおっしゃるご相談者はよくいらっしゃいますが、可能であれば、離婚協議や別居を始める前に、夫婦の収入や財産のことを把握しておくことが望ましいといえます。
離婚届を衝動的に書くのは危険!
離婚協議で問題になることをまず整理する必要があるとご説明しましたが、離婚の手続きだけを見ると、互いに離婚届を書いて役所へ提出すれば、離婚は成立します。
そして、子どもがいる場合も、親権者をどちらにするかという指定さえあれば離婚届を提出することはできます。
しかしながら、お金のことや自宅のことなどを取り決めないまま衝動的に離婚届を書くことは大きなリスクを伴う恐れがあり、避けるべきでしょう。
例えば、離婚が成立すれば、夫婦ではなくなるため、婚姻費用を請求することができなくなります。
また、財産分与について言えば、法的には離婚後も2年以内であれば請求可能なのですが、離婚前と離婚後であれば交渉の仕方が変わってきます。
すなわち、離婚した後では、離婚する前に比べて財産分与や慰謝料などの交渉が難しくなるケースがしばしばあるのです。
以上のように、衝動的に離婚届を書いてしまうことにはリスクを伴うおそれがありますので、一度思いとどまって慎重に検討することが重要です。