成年後見人って何?成年後見制度のデメリットは?
認知症などによって判断能力が低下してしまった時、本人名義の不動産について処分できなくなる、施設入所などに関する契約を交わせなくなるなどの事態が生じ、親族が困ってしまうことがしばしばあります。
このような事態が生じた時、事後的に対応する制度が成年後見制度です。
成年後見制度とは、判断能力が著しく低下した本人のために、家庭裁判所の一定の監督のもと、後見人が身上監護と財産管理を行う制度のことを言います。
法定後見とも言います。
以下、成年後見制度の簡単な概要と、その難点についてご説明します。
成年後見制度の概要
上記の身上監護というのは、本人の生活の維持や医療、介護など、身上の保護に関する法律行為を行うことです。
法律行為とは、施設入所契約や介護契約の締結や解除のことをいいます。
その他、施設料や医療費の支払いなども行いますが、実際に身の回りの世話や介護を行うことは含まれません。
財産管理とは、本人の財産全体を把握し、本人のために管理や処分を行うことです。 後見人は、身上監護と財産管理に関して、包括的に代理権を持つことになりますが、判断能力の低下が著しいとまでは言えない場合、保佐、補助という制度もあります。
保佐・補助は、後見人が全面的に代理する後見の場合とは異なり、本人に一定程度の権限が残された上で、保佐人、補助人がそれを同意権や取消権によって監督・サポートするというシステムとなっています。
成年後見制度の難点
認知症に対する事後的な対応策である成年後見制度には、いくつかの難点がありますのでご説明します。
①後見人選任の手続きに時間を要する点
成年後見の開始を申し立てる準備の期間、申立後の手続きに要する期間を併せると、おおよそ3か月以上、後見人が選任されるまで期間を要します。
②申立手続きについての親族の負担
本人は判断能力が低下してしまった状態になっているため、親族による後見の申立てが原則となります。
したがって、親族に申立手続きの手間と費用を負担させることになってしまいます。
③後見人はあくまで家庭裁判所が選任する点
申立てを行う親族において、後見人候補者を挙げて、家庭裁判所に後見人の希望を伝えることはできますが、最終的に決定するのは裁判所になりますので、必ずしも希望が通るとは限りません。
④本人の意向を反映しきれない
後見人は本人のために財産管理・身上監護を行いますが、判断能力が低下した本人に意向確認をすることが困難である以上、細かく本人の意向に沿うということはできません。
以上の難点を解決する方法として、判断能力が低下する前に、本人自身があらかじめ自分の後見人を指名し、自分のライフプランを伝えることのできる任意後見制度があります。 当事務所では、成年後見(法定後見)に関するご相談、任意後見に関するご相談のいずれについても承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。