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法律コラム

離婚における財産分与の基礎知識とポイント

2016年08月04日

離婚における財産分与の基礎知識とポイント

離婚の際にしばしば問題となるのが財産分与です。

子がいなくとも、財産分与の問題が解決せず、なかなか離婚協議が進まないということもあります。

財産分与という言葉をよく耳にするものの、そのポイントについては一般的にはあまり知られていません。

そこで、財産分与の基礎知識とポイントをご説明します。

 

財産分与の対象

財産分与の対象となるのは、夫婦の共有財産です。

夫婦の共有財産とは、婚姻の後、夫婦が協力して築き上げた財産のことであり、夫婦のいずれの名義のものも対象となります。

ただし、夫婦のいずれかの名義であっても、財産分与の対象とはならないものとして、特有財産があります。

特有財産は、結婚前から保有していた財産、親族などから贈与や相続によって取得した財産など、夫婦が協力して取得したものではない財産です。

 

財産分与の基準時点

よくある弁護士への質問として、「今別居中だが、相手が勝手に財産を費消してしまったら、請求できる財産分与の金額が減ってしまいませんか。」というものがあります。

財産分与の基準時点は、原則として別居時です。

つまり、別居した後に財産を費消したとしても、別居時点に遡って財産分与の計算を行うため、財産分与の請求額が減ることはないということです(ただ、請求額は変わらなくとも、費消によって、相手が支払い能力を失ってしまったという問題が起きる恐れはあります)。

これに対し、不動産など、価値に変動のある財産の評価については、財産分与についての話し合いを行う時点が原則として基準になります。

不動産の場合、きっちりと鑑定評価を行うという方法も考えられますが、鑑定費用もかかるため、不動産業者の査定書を参照して価格に関して合意することが多いです。

 

財産分与の割合

財産分与の割合は、原則として1対1となります。

専業主婦の場合であっても、家事や育児による貢献を考慮し、2分の1ずつの割合と評価するのが通常です。

ただし、夫婦のどちらかの特別の才能や努力によって、高額の収入を得ることができ、それが夫婦共有財産の多くを占めている場合などは、この割合が修正される可能性があります。