取り調べなどの捜査段階
少年事件について捜査が行われる場合、成人の刑事事件と同様に、逮捕・勾留がなされるケースもあれば、在宅により捜査がなされることもあります。
在宅捜査がなされる場合、呼び出しに応じて警察署や検察庁に赴き、取り調べが行われるということが一般的です。
在宅での捜査の場合、学校に通うなどの普段の生活を送りながら捜査に応じることができますが、この段階から弁護士に一度相談されることをお勧めします。
特に被害者のいる犯罪の場合、早期に被害者への謝罪や示談交渉を開始することを考える必要があります。
時期が遅れれば示談交渉が困難になる恐れがありますし、早期に被害者側と向き合うことが、罪を犯した少年の内省を深めることにも繋がるでしょう。
また、少年事件においては、少年が今後更生していくための環境調整も重要になりますので、この点についても弁護士に早期段階から対応してもらう必要があります。
家庭裁判所への送致後、鑑別や調査官との面談
捜査が一通り終了した後は、家庭裁判所への送致がなされます。
家庭裁判所へ送致がなされた後は、家庭裁判所調査官による調査が始まることになります。
調査方法は、学校への照会手続きや、少年や保護者との面接などです。
また、調査にあたって活用されるのが、少年鑑別所における「鑑別」です。
少年鑑別所における「鑑別」とは、少年の更生の方針を立てるために、各種心理テストや面接などを通じて、少年の環境や人格などを明らかにしていく手続きです。
少年鑑別所に通所するなどの方法で鑑別がなされる「在宅鑑別」という手続きがありますが、在宅事件であっても、家庭裁判所へ送致後に少年鑑別所に収容して鑑別手続きがなされるおそれはあります。
少年鑑別所への収容によって学校などに大きな影響が及んでしまう場合、家庭裁判所への送致前から弁護士へ相談しておくべきでしょう。
また、家庭裁判所への送致後も、弁護士に家庭裁判所調査官と面談してもらうことや、記録の閲覧をしてもらうなどの対応が重要になります。
家庭裁判所での審判手続き
少年鑑別所に収容された場合、通常、3〜4週間後に「審判」という手続きが開かれますが、在宅で鑑別がなされる場合は、家庭裁判所への送致から数ヶ月後に審判が開かれることが多いと思われます。
少年事件の審判では、成人の刑事裁判とは異なり、原則として非公開であり、検察官もいません。
また、弁護士から主張立証を示すのがメインではなく、裁判所が主導して少年に質問するなどして調査を行うという形式になります。
もっとも、審判期日の前に、弁護士は少年の付添人として裁判所に意見書を提出します。
裁判官はこの意見書を踏まえて審判に臨みますので、的確な意見書を提出することが重要になりますが、そのためには早期段階から弁護士に関わってもらうことが望ましいでしょう。