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法律コラム

自己破産とは?弁護士がメリットやデメリットをわかりやすく解説!

2020年11月06日

そもそも自己破産って何?手続きはどうやってすればいいの?

「自己破産」という言葉を聞いたことのある方は多いと思います。

もっとも、そもそも自己破産とは何か、自己破産をするとどうなるのか、どんな手続きなのかについて、答えることのできる方は少ないのではないでしょうか。

自己破産とは、簡単に言うと、借金の返済が困難な状況に陥ったときに、裁判所に申し立てて、借金の返済義務を免除してもらう手続きです。

もちろんどのような場合にも全額免除してもらえるわけではなく、例えば、返済に充てることのできる一定の財産がある場合は、その財産を配当(返済)に充てた上で、残りの返済義務を免除してもらうという流れになります。

また、自己破産は裁判所へ申し立てて行う手続きですが、破産法や破産手続きに関する専門知識が必要となるため、弁護士に依頼するのが通常です。

弁護士に事実関係の説明や必要資料の提出を行い、弁護士に代理人となってもらい、裁判所へ申し立てるという流れになります。

なお、自己破産について代理人となることができるのは弁護士だけです。

すなわち、弁護士でなければ、本人に代わって債権者とのやりとりをすることや、自己破産申立て後、裁判官との面談がある場合などに同席することはできません。

 

自己破産をするとどうなる?メリット・デメリットは?

自己破産の手続きが無事に通った場合、前述のとおり、借金返済の義務が免除されます。これを「免責」と言います。

破産する人にとって、この免責が最大のメリットといえます。

それでは、自己破産をするとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

「破産したら人生が終わる。」などと思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはありません。

自己破産は、経済的な更生をするための手続きであり、借金返済がどうにも立ち行かなくなってしまった方が人生を再スタートするための制度です。

「自己破産だけはなんとしてでも避けたい。」と考えるあまりに弁護士へ相談することなどを遅らせてしまうと、むしろ借金は膨れ上がることになり、危険です。

自己破産にはデメリットには以下のようなものがありますが、実際上は、その人にとってあまり不利益にならないということも多いです。

 

①一定の財産は配当のために処分される可能性がある

相当額の財産を持っている場合、これが処分されて借金返済のために充てられる可能性があります。

しかし、「自己破産をすると家具も家電も全て持っていかれてしまう。」などというわけでは全くありません。

「自由財産」という生活に必要な財産については自己破産をしても保持できるとされています。

実際には、自由財産を超える財産を持っているというケースの方がむしろ少ない印象です。

 

②一定期間、資格や職業の制限が生じる

破産手続きを行なっている期間中、資格や職業が制限されることがあります。

制限の対象となるのは、他人のお金を管理するような仕事であり、具体的には、警備員、生命保険募集人、損害保険代理店、旅行業務取扱管理者、証券外務員、宅地建物取引士、建築士事務所開設者など、様々な資格や職業が対象になります。

しかしながら、破産手続きをしたからといって、このような仕事を一生できないというわけではありません。

破産手続きは通常、免責許可の決定が確定することで終結しますが、その後に「復権」という形で制限が無くなります。

したがって、破産手続きの開始決定から終結まではおおよそ4か月程度であるため、通常はこの期間の間だけ、資格や職業が制限されるということになります。

 

③官報により公告がなされる

自己破産を申し立てた後、自己破産手続きをしていることが「官報」という国の発行する機関紙に掲載されます。

しかしながら、官報を隅々までチェックしているという人は通常いませんので、官報を通じて自己破産のことを知人などに知られるということはまずありません。

ただし、自己破産により制限を受ける職業などの場合に、勤務先や関係者が官報を定期的にチェックするということはあるようです。

なお、自己破産の場合だけでなく、個人再生を申し立てた場合も、官報に掲載されることになります。

 

④数年程度、ローンやクレジットカードを利用できなくなる

自己破産をした場合、信用情報に「事故」として記録が載るため、数年程度、ローンを組むことやクレジットカードを作ることができなくなります。いわゆる「ブラックリスト」というものです。

しかしながら、自己破産の場合に限らず、後述の個人再生や任意整理という債務整理の方法でもブラックリストには載ります。

また、債務整理をしないまま、返済を滞納した状態を続ければ、結局のところブラックリストに載ることになります。

そもそも自己破産などによる債務整理は、経済的更生を果たし、人生を再スタートさせるということに目的があります。

再スタートしたにもかかわらず、再びすぐに借り入れに頼るということはあってはいけません。

したがって、借り入れを一定期間できないということは、むしろ人生を再スタートさせた人にとって良いことであると、前向きに捉えるべきでしょう。

なお、どの程度時間が経てば借り入れの審査が通るのかという点は、審査をする業者によって様々であるため、比較的早期に審査が通ったということもあるようです。

 

自己破産の他に債務整理にはどんな方法がある?

債務整理には、自己破産の他に、個人再生、任意整理という方法もあります。

個人再生は、自己破産と同じように裁判所に対して申し立てる手続きです。

自己破産では原則として借金全額を免除されるのに対し、個人再生では借金の一部を免除してもらった上で、残りを返済していく手続きになります。

任意整理は、自己破産や個人再生とは異なり、裁判所に申し立てる手続きではありません。

貸金業者などの債権者との和解交渉を弁護士に任せる手続きです。

任意整理は、和解後の利息をカットしてもらうという点に大きな意義があります。

もっとも、任意整理では原則として現在の借金額を減らせるわけではないため、任意整理をしたとしても返済に無理がないかどうか、慎重に検討する必要があります。

どの方法を用いるべきかについては、必ず専門家である弁護士と相談して決めるべきでしょう。

一人で悩み続けるのではなく、まずは弁護士に相談することから検討しましょう。