離婚問題・交通事故・企業法務(顧問契約等)に強い、札幌とくみつ法律事務所


自己破産手続きの流れ

2019年02月06日

弁護士に依頼してから裁判所に申し立てるまで

自己破産の手続きを弁護士に依頼した場合、依頼した後の手続きは実際にどのような流れで進むのでしょうか。

自己破産は裁判所に申し立てる手続きですので、裁判所への申し立てが大きな一つの区切りになります。

裁判所に申し立てるまでの流れは概ね以下のような流れになります。

 

①弁護士へ依頼。債権者への返済を停止。

②弁護士から債権者へ受任したことを通知。

同時に、債権者へこれまでの取引履歴を開示するよう依頼。

③自己破産の申立てを準備(弁護士との打ち合わせ、必要書類の収集、家計表の作成など)。

その間、債権者から取引履歴の開示。

 

①弁護士への依頼後、全債権者に対する返済を停止するという対応がまずは必要になります。

カードローンやクレジットカードの返済だけでなく、知人や親族から借りているお金の返済も停止しなければなりません。これを「債権者平等の原則」と言います。

口座振替による返済なども停止するように注意しなければなりません。

返済を停止することにより、毎月の収支に若干余裕が出ることが通常ですので、その分を破産費用の積み立てに当てていくという形になります。

 

②弁護士は破産手続きを受任した後、原則として各債権者へ速やかに受任通知を発送します(なお、法人の破産の場合は異なる対応になります)。

この受任通知とは、各債権者へ弁護士が債務整理を受任したことを知らせ、依頼者への督促を停止するように求める手紙です。

通常、弁護士が受任通知を発送することにより、債権者から依頼者への督促等の連絡は止まることになります。

また、受任通知において、各債権者へこれまでの取引履歴を開示するように求めることになります。

取引履歴を確認することにより、正確な負債の金額や過払金の有無、破産に至る経緯などを把握することができます。

 

③自己破産は裁判所へ申し立てる手続きですので、必要書類を揃え、申立書類を作成しなければなりません。

そして、申立書類を完成させるためには、依頼者の協力が必須になります。

具体的には、給与明細や通帳などの必要資料の収集、必要事項の申告や打ち合わせへの協力、毎月の家計表の作成などです。

仮に依頼者がこれらに協力せず、連絡も取れないような状況が続く場合、自己破産を申し立てられないまま弁護士が辞任せざるを得ないことになってしまいます。

 

裁判所へ申し立てた後の手続きの流れ(同時廃止の場合)

裁判所へ申し立てた後の手続きは、大きく分けて、同時廃止と管財事件という2種類に分かれます。

同時廃止は、債権者に配当のできるような財産が無く、免責(負債を支払わなくても良くなること。)を認めることに大きな問題も無いような事案で行われる手続きです。

同時廃止では、各債権者からの意見を述べる期間が一定期間設けられた上で、免責に関する決定がなされます。

この間、破産する人が裁判所へ出頭したり、新たに書類収集をしなければならないということはありません。基本的には、免責に関する決定が出るまでの間、待機するという形になります。

もっとも、裁判所の判断により、破産手続きを開始する前に、追加資料の提出を求められたり、裁判官との面談が行われるケースはあります。

 

裁判所へ申し立てた後の手続きの流れ(管財事件の場合)

管財事件は、裁判所が選任する管財人という立場の弁護士により調査が行われる手続きです。

一定程度以上の財産がある場合などに管財事件の手続きが行われます。

管財事件となった場合、管財人との面談や、管財人の調査への協力、裁判所で行われる債権者集会への出席などの対応をしなければなりません。

破産する人には管財人に対する説明義務がありますので、管財人の調査に対しては誠実に対応しなければなりません。

また、一定期間、郵便物が管財人の事務所へ転送されることになります。

 

免責に関する決定が出た後

免責が許可されれば、破産手続きはほぼ終了となりますが、直ちに確定はしません。

免責許可決定がなされた後、「官報」という国が発行する機関紙への掲載手続きが行われます。また、債権者側からの不服を申し立てる期間が設けられています。

したがって、免責が許可される決定が出た後、その決定が確定するまで、おおよそ1か月程度待つことになります。

 


住宅ローンの残った自宅を保持したまま、カードローンの返済を大きく減額できたケース

2019年01月29日

相談者は、妻と子供2人の4人家族で、持ち家で暮らしていた会社員でした。

ところが、仕事の付き合いなどをきっかけに過度に飲食費などを使うようになり、この支払いをカードローンやクレジットカードのリボ払いに頼るようになってしまいました。

カードの支払いが厳しくなってきてもまた別のカードを作ってしまい、飲食費を抑えることはできないままでした。

このようにして日々の支払いをごまかしながら過ごしているうちに、カードの負債額はどんどんと膨れ上がってしまい、気づけば500万円もの金額になっていました。

相談者は債務整理をするしかないと考えましたが、他方で、住宅ローンもまだまだ残っており、家族のためにも自宅が競売にかけられることは何とかして避けたいという思いでした。

いずれにせよこのまま放置すれば住宅ローンも滞納しかねないと思い、相談者は急いで弁護士に相談することにしました。

※守秘義務の関係上、適宜実際の事例を修正しております。

 


2月16日(土)事業承継の無料相談会を開催します!

2019年01月23日

2月16日(土)に、経営者や事業の後継者の皆様を対象に、事業承継に関する相談会を開催します。

開催場所は当事務所になりますが、当事務所の弁護士徳満が所属する札幌起業経営相談ネットワークの主催になります。

そのため、弁護士だけでなく、税理士、社会保険労務士、司法書士・行政書士にも事業承継に関する相談をすることが可能です。

また、相談料は無料です(相談時間枠45分)。

以下のような事業承継に関するお悩みを抱えている経営者様、事業の後継者様は是非ご参加ください。

・事業承継に伴う税金の負担が心配。

・事業承継における役員変更や合併・分割等の登記について知りたい。

・事業承継前に社内の労務管理を整理したい。

・紛争を回避して円滑に株式を後継者に引き継ぎたい。

・自社の株式がどれくらいの時価か知りたい。

・株主総会や取締役会、株式譲渡契約の進め方やスケジュールについて知りたい。

・スムーズに承継できるように、就業規則の見直しを行いたい。

・後継者や親族が遺産分割などで揉めないようにしておきたい。

・M&Aで交渉や調査、書類作成の対応を任せたい。

 

詳細については以下のご案内チラシをご確認ください。

お申し込みは以下のご案内チラシ裏面を用いてFAXで行うことができますが、電話やメールでの受付も行っております。

ご案内チラシ表面

ご案内チラシ裏面

相談枠は先着順になりますので、是非お早めにお申し込みください!


遺言・相続、後見・家族信託について初回相談無料になりました!

2019年01月21日

当事務所では、通常のご相談は30分5000円(税抜)ですが、遺言や相続放棄、遺産分割に関するご相談、成年後見や任意後見、家族信託、ホームロイヤーに関するご相談については、相談者様がお気軽にご相談頂けるように、初回相談30分を相談料無料とさせて頂くこととしました。

以下のようなご相談は、ぜひ当事務所の初回無料相談をご活用ください。

【遺言や相続放棄、遺産分割に関するご相談】

  • 遺言書を作りたい
  • 生前に納得のいかない金銭の動きがある
  • 相続放棄をしたい
  • 遺産分割が上手くまとまらない
  • 遺言書の内容に納得がいかない、作成経緯に疑念がある

【成年後見や任意後見、家族信託、ホームロイヤーに関するご相談】

  • 認知症を患っている親族の財産管理をしているが、不動産の売却など、
    後見人でなければ対応できない問題が生じた
  • 認知症を患っている親族の財産管理について、親族間で争いが生じている
  • 自分自身について、老後の財産管理が不安である
  • 老後の財産管理や見守りについて、自分で選んだ弁護士や、自分の信頼できる人に任せたい
  • 柔軟かつ円滑な資産承継のために予め対策しておきたい

遺産分割での相続割合はどのようにして決まる?

2019年01月18日

まずは遺言書があるか否かを確認する

遺産分割の協議を始める前に、亡くなった方の遺言書が無いかどうかをまずは確認する必要があります。

有効な遺言書が存在する場合、その遺言書で指定された内容で遺産分割がなされることになるためです。

相続人全員の同意があれば、遺言と異なる内容の遺産分割を行うことも可能ですが、相続人のうちの一人でも同意が得られなければ、やはり遺言書どおりに分割されることになります。

また、遺言書の内容を実現する遺言執行者が指定されている場合、相続人全員が遺言内容と異なる処分を求めているとしても、遺言執行者は遺言の内容どおりの執行をすることができます。

遺言書が公正証書で作られた場合(公正証書遺言)、相続人の方は遺言書の有無を公証役場で調べてもらうことができます。

日本全国の公証役場を対象に調べてもらうことができますので、活用を検討すると良いでしょう。

なお、遺言者が亡くなる前は、遺言者本人でなければ検索することができません。

遺言書が自宅などにおいて自筆で作られた場合(自筆証書遺言)、遺言書の保管者や遺言書を発見した相続人は、家庭裁判所に「検認」を申し立てなければなりません。封書の場合は、開封しないまま検認手続きを行わなければなりません。

検認とは、相続人に対して遺言のことを知らせるとともに、遺言書の状態や内容を裁判所で確認し、遺言書の偽造を防ぐ手続きです。

遺言書が有効か無効かを判断する手続きではありませんので、ご注意ください。

 

法律で定められている相続割合を確認

遺言書が無く、相続人の間で遺産分割協議を行う場合、まずは法律で定められている相続割合を確認します。これを法定相続分と言います。

法定相続分は、概ね以下のように定められています。

 

①共同相続人が配偶者と子である場合

配偶者は2分の1、子は2分の1になります。

子が複数いるときは、嫡出子か非嫡出子かに関わらず、各自の相続分は等しいものとされます。

 

②共同相続人が配偶者と直系尊属である場合

配偶者は3分の2、直系尊属は3分の1になります。

直系尊属が複数いるときは、各自の相続分は等しいものとされます。

 

③共同相続人が配偶者と兄弟姉妹である場合

配偶者は4分の3、兄弟姉妹は4分の1になります。

兄弟姉妹が複数いるときは、各自の相続分は等しいものとされますが、この中に父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹がいるときは、その相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1とされます。

 

寄与分とは?特別受益とは?

法定相続分が絶対的な基準かというと、そうとも限りません。

法定相続分の割合が修正される典型的なものとして、寄与分というものがあります。

寄与分とは、相続人の中に、被相続人(亡くなった人)の財産の維持または増加について特別の寄与をした相続人がいるときに、その相続人には法定相続分以上の財産を取得させる制度です。

もっとも、寄与分は簡単に認められるものではなく、身分関係に基づいて通常期待されるような程度を超える特別の貢献でなければならないとされています。

寄与の類型としては、事業従事型、財産出資型、療養看護型、扶養型、財産管理型などがあります。

法定相続分が修正される制度としては、特別受益というものもあります。

相続人に対して遺贈や一定の生前贈与がなされている場合に、これを特別受益といい、この特別受益分を調整して相続割合を決める制度です。

生前の贈与について問題となることが多いですが、生前贈与の全てが特別受益に該当するわけではありません。

例えば、不動産の贈与など、生計の基礎として役立つような贈与は特別受益に含まれますが、他方で、親族間の扶養としての金銭援助にとどまるような贈与は特別受益に当たらないとされています。

 

 

相続割合以外の問題が生じることも多い

相続割合について説明してきましたが、遺産分割において生じる問題は残念ながら相続割合だけとは限りません。

生前の財産の動きに使途不明金がある場合、遺産の範囲に争いがある場合、相続人の中に認知症の方がいる場合、相続人の中に音信不通の方がいる場合など、遺産分割では様々な問題が生じます。

また、相続人間で話し合いをするだけでも精神的に疲弊することがあります。

このような場合、一人で問題を抱えることなく、専門家である弁護士にまずはお気軽にご相談ください。

自分の代理人になってもらい、遺産分割を全面的に任せることのできる専門家は弁護士だけです。

当事務所では、遺言や相続に関する初回無料相談を実施しておりますので、どうぞご活用ください。


債務整理をするとどんなデメリットがある?

2018年12月26日

任意整理・自己破産・個人再生に共通のデメリット

①ブラックリストに載ること

金融機関が融資などを行う際に信用情報機関へ調査を行うのですが、「ブラックリストに載る」とは、この信用情報に債務整理や返済滞納で約束どおり返済がなされなかったという事故情報が掲載されることをいいます。

ブラックリストに載ることにより、しばらくの間、新たにローンを組むことや借り入れをすることが難しくなります。

もっとも、一生借り入れをすることができなくなるわけではありません。

借り入れの審査に影響するのはおおよそ5年〜7年程度と言われていますが、審査の厳しさも金融機関や借り入れ内容によりますので、より短い期間で審査が通ることもあります。

また、ブラックリストに載るのはあくまで債務整理を行なった本人のみなので、家族はブラックリストに載りません。

 

②保証人への影響(任意整理については事案による)

保証人がついている債務については、通常、債務者本人が債務整理を行なえば、保証人へ支払い請求がなされることになります。

保証人が存在する債務としては、例えば、奨学金や住宅ローン、事業資金融資などの事例が考えられます。

もっとも、債務整理の方法のうち、任意整理を用いる場合は、保証人の存在する債務については弁護士が介入しないという選択肢もあり得ますので、この場合は保証人へ影響を及ぼすことなく、債務整理を行うことが可能になります。

 

自己破産・個人再生に関するデメリット

①官報による公告

官報とは、国が発行する機関紙のことをいいます。

自己破産や個人再生を裁判所へ申し立てる場合、官報に氏名等が掲載される形で公告されることとなります。

これに対して、任意整理の場合は、官報に掲載されるということはありません。

もっとも、官報に掲載されたとしても、一般の方が官報を見ることはほとんどありませんので、日常生活に特段支障を生じないことが多いです。

 

②自宅や車などの財産を手放すことになる可能性がある

特に自己破産の場合、自宅などの大きな財産については売却して手放すことになる可能性があります。

もっとも、住宅ローンについて、個人再生の住宅資金特別条項という制度を利用することで、自宅を残したまま債務整理をすることができるケースも数多くあります。

車についても、ローンが無く、年式がかなり古いなどのケースで、保有したまま債務整理を進めることのできる場合があります。

 

③破産手続き中の資格制限

自己破産の方法をとる場合、破産手続き中、一定の仕事に就くための資格が制限されることになります。

一例としては、生命保険募集人、損害保険代理店、警備員、宅地建物取引業者、旅行業務取扱管理者、建設業などが挙げられます。

もっとも、資格が制限されるのは自己破産手続き中のみであり、破産手続き終了後は「復権」により、制限されなくなります。

このような自己破産の場合に対し、個人再生や任意整理の場合には資格制限はありません。

 

④破産手続き(管財事件)中の郵便物の転送、住居変更・旅行の制限

自己破産には、大きく分けて、「管財」か「同時廃止」のいずれかの手続きによることとなります。

破産管財人が選任される手続きを「管財」といい、破産管財人が選任されない手続きを「同時廃止」といいます。

破産管財人とは、破産者の財産や破産原因を調査したり、配当手続きを行ったりする弁護士です。

「管財」により破産手続きが行われる場合、破産手続き中(または破産手続きの途中まで)、破産者宛の郵便物が破産管財人へ転送されることになります。

また、「管財」手続きの場合、破産手続き中の住居変更や旅行については、裁判所の許可が必要になります。

 

デメリットだけに囚われると債務整理ができなくなってしまう

債務整理のデメリットについて述べてきましたが、デメリットにばかり囚われているといつまで経っても債務整理ができないままです。

債務整理は経済的に更生し、生活を再スタートさせるための手続きですが、債権者に迷惑をかける以上、一定のデメリットはやむを得ません。

デメリットに囚われて債務整理を先延ばしにすれば負債は膨らむ一方であり、債務整理がどんどん困難になるリスクがあります。

また、「デメリット」としてご説明しましたが、例えば、ブラックリストに載って一定期間借り入れができないということは、デメリットであるとは限りません。

今後借金に頼ることなく生活を再スタートするためのきっかけになってくれると捉えることもできます。

当事務所では、債務整理に関する初回無料相談を実施しております。まずはお気軽にご相談ください。


離婚調停でスムーズに離婚が成立し、解決金も得られたケース

2018年12月25日

相談者が弁護士に相談したのは、相談者の夫が家を出る形で別居が始まって約2年が過ぎた頃でした。

相談者の夫は家庭を顧みずに女性関係を持ち、相談者に暴力を振るうなどしていましたが、ついには自宅に帰らなくなりました。

夫婦間に子どもはいませんでしたが、相談者は派遣社員であり、今後の生活に経済的な不安を大きく抱えていました。

他方で、相談者としては、早く離婚を成立させて夫との縁を切りたいという想いも強く、財産分与などについて厳密な請求ができなくとも構わないという意向でした。

※守秘義務の関係上、適宜実際の事例を修正しております。


ホームロイヤー契約とは?気になる費用は?

2018年12月11日

ホームロイヤーとはかかりつけ医のような弁護士のこと

「ホームロイヤー」という言葉を皆さんは聞いたことがあるでしょうか?

ホームロイヤーとは、簡単に言うと「ホームドクター」のような、かかりつけのお医者さん的存在の弁護士のことを言います。

内閣府によれば、高齢者の一人暮らしは年々増加しており、2015年時点で、65歳以上の方のうち、一人暮らしをしている男性は全体の13.3%、一人暮らしをしている女性は全体の21.1%となっています。

このように一人暮らしをされている高齢者の方は、医療・介護のことや財産管理のこと、詐欺や消費者被害のことなどについて特に不安を抱えていらっしゃることと思います。

また、定期的に誰かに見守ってもらいたいという気持ちも少なからず抱えていることと思います。

そこで、昨今では、このようなご要望に法律の専門家である弁護士が「ホームロイヤー」という形で対応するようになってきました。

ホームロイヤー契約では、定期的に弁護士がご本人と連絡をとり、法律相談にも乗るという「見守り契約」の形でサービスを提供するのが一般的です。

また、見守りだけでなく、財産の全部又は一部の管理を弁護士に任せる「財産管理契約」などをセットで依頼されることもあります。

 

財産管理や遺言、死後事務のことも相談できる

ホームロイヤー契約では、弁護士に定期的に見守ってもらうだけでなく、法律相談をすることができます。

財産管理のことや遺言・相続のこと、亡くなった後の葬儀のことなどを弁護士に相談することができます。

そして、このようなことを定期的に相談していく中で、財産管理も弁護士に任せたいということであれば、追加で依頼することができます。

また、自分が認知症になった時にはホームロイヤーの弁護士に財産管理や施設入所の契約のことなどを任せたいと言う場合には、「任意後見契約」という契約を締結することが考えられます。

「任意後見契約」とは、認知症などで判断能力が低下した場合に本人に代わって財産管理等を行う後見人となる者をあらかじめ定めておく契約です。

さらに、遺言書の作成を任せることや、自分が亡くなった後の葬儀や医療費等の支払いを依頼する「死後事務委任契約」を行うことも考えられます。

財産の管理や処分を弁護士ではなく家族に任せたい場合には、昨今話題となっている「家族信託契約」をその家族との間で取り交わすことが考えられます。

この家族信託についても、弁護士に協力してもらうことが考えられます。

以上のように、ホームロイヤーの活用の仕方は様々です。

ホームロイヤーに継続的に見守ってもらい、相談に乗ってもらうだけという選択肢もあれば、財産管理や任意後見も任せるという選択肢もあります。

重要なのは、不安や心配事を一人で抱え込まず、専門家にまずは相談だけでもしておくことです。

専門家に相談しながら、選択肢を広げることを検討すれば良いのです。

 

ホームロイヤー契約にかかる費用はどのくらい?

ホームロイヤーを弁護士に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。

継続的な契約ですので、やはり費用の部分が皆さん気になるところだと思います。

ホームロイヤー契約の契約内容にもよりますが、例えば、月に1回、電話で安否確認や法律相談を行う「見守り契約」の場合、月額1万円(税別)程度が一般的と思われます。

もちろん、安否確認や法律相談の頻度を変更し、費用もこれに応じた金額に変更するということも可能です。

見守り契約に加えて、弁護士に財産の全部又は一部の管理を任せる「財産管理契約」も行う場合、財産の規模などによりますが、おおよそ月額3万円(税別)〜月額5万円(税別)程度の費用になります。

認知症等になった時に後見人となってもらえるように、「任意後見契約」も行うことが考えられますが、この場合の費用も財産管理と同程度の相場になります。

ただし、任意後見の場合、任意後見人が活動をするには家庭裁判所による任意後見監督人の選任が必要となり、この任意後見監督人についての費用も発生することになります(任意後見監督人の報酬については、家庭裁判所が決定します)。

さらに、「死後事務委任契約」も行う場合、おおよそ30万円(税別)程度の費用が別途発生することになります。

このように見ると色々と費用がかかってしまうように思えますが、どこまでのサービスを弁護士に依頼するかは選ぶことができます。

最も危険なのは、不安や心配事をそのまま放置しておくことであると思います。

まずは「見守り契約」でホームロイヤーに継続的に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。


年末年始休業期間のお知らせ

2018年12月10日

当事務所の年末年始休業期間は、12月28日(金)〜1月6日(日)となっております。
休業期間中ご迷惑をお掛けしますが、ご承知置き下さいますようお願い申し上げます。


相続放棄の手続きの流れや費用

2018年12月05日

相続放棄が必要になることは誰にでもありうる

「相続放棄」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。

相続放棄とは、相続人が遺産の相続を放棄することであり、相続放棄をすることにより、その方は初めから相続人でなかったことになります。

相続放棄の手続きは家庭裁判所に対して行うことになりますが、相続放棄の手続きが必要になることは誰にでも起こり得ます。

決して一部の特別な人だけが行う手続きではありません。

相続放棄のご相談としては、以下のようなケースがあります。

・兄弟の一人が亡くなったが、相続する気はないので、相続放棄をしたい。

・亡くなった親や兄弟に借金がある模様なので、相続放棄したい。

・両親が昔離婚したが、長年会っていない親が借金を抱えたまま亡くなったので、相続放棄したい。

・他の相続人と一緒に相続放棄をしたい。

亡くなった方に借金があるので放棄したいというケースだけでなく、相続人として関わる気はないという理由で相続放棄をするケースも多くあります。

重要なのは、相続放棄をしない限り、相続人は相続人の地位から逃れることができないという点です。

亡くなった方と長年関わっていない場合であっても、遠方に住んでいる場合であっても、相続放棄をしない限り、相続人は、相続人としての責任や負担を負うことになります。

 

 

 

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄の手続きの流れをご説明します。

相続放棄は、家庭裁判所へ申述書や必要書類を提出することにより行います。

まず重要なのが、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に提出しなければならないという点です。

「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは、通常、被相続人の方が亡くなったことを知ったときを言いますが、例外もあります。

相続財産が全くないと信じ、かつ、そのように信じたことにつき相当な理由がある場合などです。

もっとも、原則としては、とても短い期限となっていますので、相続放棄を検討する場合、速やかに対応を開始されることをお勧めします。

速やかな対応をお勧めする理由として、必要書類である戸籍や住民票の収集に一定程度の時間を要するという事情があります。

特に戸籍については、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍を提出しなければならない場合など、収集するのに時間を要するケースが多くあります。

また、必要書類の収集と同時に、相続放棄の申述書を作成する必要があります。

相続放棄の申述書を作成するにあたって注意しなければならないのは、被相続人が亡くなってから長期間が経過している場合です。

このような場合、なぜ相続放棄の期限が過ぎていないと言えるのかなどの点を説明しなければなりません。

申述書と必要書類が揃いましたら、家庭裁判所へ提出することになります。

被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ提出することになります。

遠方の家庭裁判所ということも多いですが、この場合、郵送で対応することになります。

申述書の提出後、通常、一定期間経過後に家庭裁判所から申述をした方に対して、照会書が届きます。

これは、相続放棄の意思や、亡くなったことを知ったときの状況などについての質問文書になります。

これについては、申述書との矛盾が生じないように記載するなどの注意が必要になります。

なお、照会書の他に、事案によっては家庭裁判所から追加資料の提出などの対応を求められることもあります。

照会書を家庭裁判所へ返送した後、家庭裁判所において相続放棄の受理が決まれば、相続放棄を受理したという通知書が届きます。

これで相続放棄の手続きは完了となります。

 

 

 

相続放棄の手続きにかかる費用

相続放棄の費用についても、皆さんが気になる部分だと思います。

まず、必要書類である戸籍や住民票を収集するのに実費がかかります。

取得が必要な通数にもよりますが、おおよそ数千円程度になります。

次に、裁判所に申述をする際に、印紙代(手数料)と切手代が発生します。

印紙代は申述人1人につき800円になります。

切手代は裁判所によって異なりますが、例えば札幌家庭裁判所の場合は、平成30年12月現在で246円になります。

ご自身で手続きを行う場合は、相続放棄にかかる費用は概ね以上になります。

弁護士に依頼し、相続放棄の手続きを代わりに行ってもらう場合、当事務所では1件につき5万円(税別)の手数料となっております。

もっとも、例えば、兄弟3人で相続放棄をするなど、複数の相続人の方から同時に相続放棄の手続きをご依頼頂く場合には、1件あたりの手数料を割り引かせて頂けます。

以上を見ると、弁護士への依頼費用が最も高額であるため、自分で相続放棄の手続きを行うのが得策のように思えるかもしれません。

しかしながら、前述のとおり、必要書類である戸籍の収集が複雑かつ大変な作業になることがあります。

また、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月を過ぎている場合には、相続放棄の要件を例外的に満たすことを家庭裁判所に示さなければなりません。

したがって、専門家に任せることを検討して損は無いでしょう。

そして、相続放棄の手続きについて代理人となってもらえるのは弁護士だけですので、相談先としては弁護士をお勧めします。