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法律コラム

人身事故に遭った後の治療と症状固定

2016年07月07日

人身事故に遭った後の治療と症状固定

交通事故で怪我を負った場合、怪我の治療のため、当然のことながら入院や通院をする必要があります。

例えば、こちら側の過失が0で怪我を負った場合、加害者側の任意保険会社とやりとりしながら治療を続けていくこととなります。

この場合、任意保険会社から直接病院に対して治療費の支払いが行われるのが通常ですが、治療はいつまで続けることができるのでしょうか。

また、医師による治療以外の治療方法を選ぶことはできるのでしょうか。

 

整骨院や接骨院、鍼灸などの利用

交通事故で負った怪我の治療は、整形外科への通院により行われることが多いですが、整骨院や鍼灸などを利用したいという場合も多いです。

注意点としては、これらの利用が損害賠償の対象として必ずしも当然に認められるわけではないということです。

整骨院や鍼灸を利用することが有効かつ相当であり、特に医師の指示がある場合などは、損害賠償の対象として実務上認められる傾向にあります。

医師の指示が必ず必要というわけではありませんが、医師の指示無く利用する際には、損害賠償の対象とならないリスクに注意しなければなりません。

さらに、カイロプラクティックやマッサージなどの利用についても、その有効性や相当性について注意する必要があります。

 

治療はいつまでも続けることができる?

しばらく通院を続けると、保険会社から治療の終了を打診されることがあります。

その際の説明において使われる言葉が、「症状固定」という用語です。 症状固定とは、治療を続けてもこれ以上良くはならないという状態のことをいいます。

症状固定の時期としては、事故に遭った時から6か月というのが一つの目安とされることが多いですが、あくまで目安であり、必ずしも6か月で症状固定とするのが相当とは限りません。

被害者の方から弁護士に対してよく質問されるのは、「症状固定で治療終了になると、その後の賠償は何も無いのですか?」というものです。

症状固定後は、通院したとしても、治療費について保険会社から病院へ直接支払われることはありませんし、後から治療費を請求することも原則としてできません。

それでは、症状固定後のことについて何も賠償がなされないのかというと、そうではありません。

症状固定時にも障害が残っており、これが後遺障害に当たる場合、後遺障害に対する賠償がなされます。

後遺障害に対する賠償は主に、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益です。 後遺障害慰謝料は、後遺障害を負ったことに対する精神的損害に対する賠償です。

後遺障害逸失利益は、後遺障害を負ったことにより、得られたはずの収入を得られなくなったことに対する賠償です。

症状固定時期の妥当性が争点になることはありますが、症状固定とすることが被害者にとって必ずしも不利になるわけではないのです。

 


離婚協議で養育費はどうやって決めればいい?

2016年07月04日

離婚協議における養育費の取り決め方法

離婚協議の際、夫婦間に未成年の子がいる場合、養育費がしばしば問題となります。

また、離婚協議の際のみならず、離婚成立後にも、養育費の不払いや増減額が問題となるケースは多々あります。

以下、養育費の取り決め方法の他、取り決め後の問題についても簡単にご説明します。

 

養育費算定表

養育費の取り決めは一般に、「養育費・婚姻費用算定表」という表を用いて行います。

家庭裁判所における離婚調停では、裁判所は算定表に基づいて養育費に関する話を進めますので、裁判所外で離婚協議を行う場合にも、「養育費・婚姻費用算定表」を参考にすると良いでしょう。「養育費・婚姻費用算定表」は、裁判所のホームページにも掲載されていますので、インターネット上で検索して簡単に手に入れることができます。

「養育費・婚姻費用算定表」は、大まかに言うと、夫婦それぞれの年収と、子の人数・年齢によって、養育費の金額を決めるという内容になっています。例えば、妻が子を養育するという場合、夫の年収が高ければ高いほど養育費の金額は上がりますし、子の人数については多ければ多いほど養育費の金額は上がります。

もっとも、算定表に基づいて養育費を算定することが必ずしも妥当ではないケースも存在します。

例えば、夫が自宅を出て別居した後、妻や子が住み続けている自宅の住宅ローンを高額に負担し続けている場合、養育費の算定に当たってこの点をどの程度考慮すべきかが問題になります。

 

養育費の増額・減額

離婚協議の際に養育費を取り決めたものの、例えば、その後養育費の支払い義務者が失業し、支払いが困難となる場合があります。

このような場合、養育費を取り決めた当時と事情が相当程度変わったとして、養育費の減額を請求することができます。他方、子について多額の医療費が必要となったなど、養育費の増額を請求することができる事情の変化もあり得ます。

養育費の増額・減額については、自ら調停を申し立てる必要があります。離婚調停において養育費を取り決めたという場合、事情の変化が生じたからといって、養育費に関する調停内容が自動的に変更されるわけではありませんので、注意が必要です。

 

養育費不払いへの対応

離婚成立後の問題として、しばしば問題となるのが養育費の不払いです。

養育費不払いへの対応については、出発点である、離婚協議での養育費取り決めの段階が重要となります。そもそも養育費についての取り決めが不十分なまま離婚協議を終了させれば、養育費不払いのリスクは格段に高まります。

養育費の支払いに不安がある場合、合意書のような自分たちで作った書面のみで取り決めを行うのでは不十分です。公正証書や調停など、養育費不払いとなった場合に、強制執行の手続きを直ちに取ることのできる形での取り決めを検討すべきでしょう。

 


交通事故に遭ったらどんなことを賠償してもらえる?

2016年06月28日

交通事故に遭ったらどんなことを賠償してもらえる?

交通事故に遭った時、被害者は何について賠償してもらえるのでしょうか。

裁判実務上、賠償の対象となる損害は項目ごとに分類されています。

以下、損害項目の概要を簡単にご説明します。

・積極損害

積極損害とは、保有していた財産が減少したという内容の損害をいいます。

治療費や通院のための交通費、入院中の雑費、付添看護費、介護費など、交通事故によって負担することになったこれらの費用が積極損害に当たります。死亡事故の場合、葬儀関係費用なども積極損害として発生します。

これらの積極損害については、領収書などの客観的資料が残りますので、領収書などを捨てずに整理しておくことが重要です。

入院に伴って発生する日常品等の雑費については、実務上、入院1日あたり1500円程度に定額化されています。

 

・消極損害

消極損害とは、交通事故が無ければ、得られたはずの利益を失ったという内容の損害をいいます。

1 休業損害

休業損害とは、交通事故によって負った傷病の治療または療養のために、被害者が休業することとなり、これによって生じた収入減のことをいいます。

事故前の収入を基礎として、休業したことによる現実の収入減を算定します。なお、現実の収入がなくとも、治療のために有給休暇を使用した場合は、休業損害として認められます。

休業損害が認められる期間は、原則として症状固定日までです。症状固定した後も、後遺障害によって収入減が生じる場合は、以下の後遺障害逸失利益という損害項目で考慮されることになります。

2 後遺障害逸失利益

後遺障害逸失利益とは、症状固定後も残存する後遺障害のために労働能力が喪失し、生じた逸失利益のことをいいます。

後遺障害の有無については、損害保険料算出機構における等級認定が大きな指標とされます。認定された後遺障害等級に基づき、後遺障害逸失利益が算定されるのが通常です。

もっとも、後遺障害の等級認定がなされたものの、収入減が生じない場合など、等級については争いが無いものの、後遺障害逸失利益の金額について争いが生じるケースは多々あります。

3 死亡による逸失利益

死亡事故において認められ得る損害であり、生存していれば得られはずの収入のことをいいます。

後遺障害逸失利益との違いは、死亡による逸失利益の算定においては、生活費の控除を行う点です。死亡した場合、生活費の支出は発生しないため、この点について調整を行うのです。

・慰謝料

慰謝料とは、怪我や死亡によって被った精神的損害のことをいいます。

慰謝料には、傷害慰謝料(入通院慰謝料)、死亡慰謝料、後遺障害慰謝料があります。

いずれもある程度定型化された算定表や算定式が存在するため、原則として、これに則って算定がなされます。

・物的損害

以上は、すべて人的損害に関する説明でしたが、交通事故の場面では、当然ながら物について損害が生じることもあります。

物的損害は、主に車の修理費ですが、代車費用や評価損が認められる場合もあります。

修理費は、必ずしも実際に発生した修理費全額が認められるというわけではありません。修理費が、車の時価に買い替えのための諸費用を加えた金額を上回る場合は、時価額と買い替え諸費用の合計額が損害となり、修理費全額は損害として認められません。これを経済的全損といいます。

 


離婚の手続には種類がある?

2016年05月31日

協議離婚・調停離婚・裁判離婚の各手続

一口に「離婚する」と言っても、実は、離婚成立のための手続はいくつかあります。

代表的な離婚手続としては、協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つがあります。

以下、それぞれの概要を簡単にご説明します。

 協議離婚

協議離婚とは、夫婦が裁判所外で話し合いを行い、離婚についての協議を成立させる手続きです。

離婚全体のうち、ほとんどの場合がこの協議離婚によるものです。

未成年の子がいる場合は、親権者を決定しなければ離婚届を提出することはできませんが、逆に言うと親権者さえ決定すれば離婚届を提出することはできます。

もっとも、離婚の際に問題となるのは親権者の決定だけではありませんので、安易に協議離婚を成立させ、離婚届を提出するのは、場合によってはとても危険です。

 

 調停離婚

調停離婚は、家庭裁判所で夫婦が話し合いを行い、離婚についての話し合いがまとまった場合に成立する離婚手続です。

原則として、調停を申し立てられる側の住所地を管轄する家庭裁判所において調停手続を行うことになりますので、相手方が遠方に住んでいる場合には注意する必要があります。

調停では、夫婦が調停室へ交互に入り、2名の男女の調停委員に対して自分の考えや要望を伝えます。

 

 裁判離婚

裁判離婚とは、家庭裁判所での離婚訴訟によって成立する離婚手続です。

もっとも、原則としていきなり離婚訴訟を提起することはできません。

法律上、まずは離婚調停を申し立てて、調停手続での話し合いを行わなければならないことになっています。

これを調停前置主義といいます。

また、離婚訴訟が提起された場合においても、裁判上和解が成立し、これによって離婚成立となることもあります。

離婚訴訟が始まったからといって、必ずしも判決が下されるわけではないということです。

なお、離婚を認容する判決を得るには、民法770条1項各号の離婚理由が必要となります。


交通事故で支払われる慰謝料には3つの基準がある?

2016年05月30日

慰謝料等についての3つの基準

交通事故の被害に遭った場合、通常、加害者側の保険会社との間で示談についての話し合いを行うことになります。

示談の話し合いにおいて、しばしば問題となるのが慰謝料です。

慰謝料とは、精神的損害に対する賠償です。

交通事故の被害に遭った方にとっては、最もしっかりと賠償してもらいたい部分かもしれません。

ところが、精神的損害は目に見えるものではないため、どのように算定すればいいのかが問題となります。

この慰謝料の算定に関して、以下、3つの基準というものをご説明いたします。

 

 自賠責基準

自賠責保険は、原付やバイクを含め全ての自動車に加入が義務付けられている自動車保険です。

自賠責保険の基準によって算出される金額は、通常、3つの基準のうち最も低い金額となります。

なお、自賠責保険による賠償は人身損害に対してのみであり、修理費用などの物的損害に対しては自賠責保険の適用はありません。

 

 任意保険基準

任意保険は、自賠責保険で賄いきれない部分を補うための自動車保険であり、任意保険の加入率は約73%といわれています。

自賠責保険を補うための保険ですが、通常、任意保険会社が一括して被害者対応を行うことになります。

任意保険基準は、任意保険会社の基準によって提示される金額であり、自賠責保険基準を上回ることが多いですが、裁判基準よりも低くなるのが通常です。

 

 裁判基準

裁判基準とは、訴訟(裁判)によって通常認められる金額をいい、赤い本(民事交通事故訴訟 損害賠償算定基準)と呼ばれる書籍などを用いて算定します。

裁判基準は3つの基準の中で最も高額となるのが通常です。

弁護士が被害者の代理人となる場合、示談交渉や訴訟などの手段を用いて、裁判基準による賠償金額の獲得を目指します。

 

以上のように、慰謝料という一つの損害費目をとってみても、対応や解決方法によって賠償金額は大きく異なってくることになります。

示談金額などについて悩んでおられる方は、ぜひ当事務所まで一度ご相談ください。


顧問弁護士のメリット

2016年05月28日

弁護士と顧問契約を締結するメリット

契約トラブルや債権回収、不動産問題,労働問題,事業承継など,企業の経営には常に法的問題発生のリスクがあります。

特に法的トラブルが発生していない場合であっても,契約書の取り交わしなど,弁護士の法的サポートを必要とする業務は常時発生しています。

顧問弁護士の役割はどのような点にあるのか、以下、簡単に説明したいと思います。

 

 継続的に企業の事情を弁護士に知ってもらえること

通常,弁護士と関わることは法的トラブルが発生した場合のみですので,弁護士はそこで初めて企業の話を聞くことになります。

しかし,顧問弁護士は,普段からその企業から相談を受けていますので,企業の抱える事情をスムーズに把握することが可能です。

 

 法的トラブルに対する事前の予防ができること

顧問弁護士がいない場合,特に法的トラブルも発生していない段階で,弁護士に相談に行くということはあまり無いと思います。

しかしながら,弁護士との間で顧問契約を締結している場合,些細な点であっても定期的に事前に弁護士に相談することが可能になり,紛争の発生を事前に予防することができます。

そして,法的トラブルが発生した際に負担することとなる費用や時間,手間は,一般の方が想像する以上に甚大なものです。

したがって,紛争の事前予防は,企業にとって多大な利益をもたらすことになるのです。

 

 法的トラブルに対する事後的な解決にもスムーズに対応依頼ができること

法的トラブルが発生した際,トラブル発生後に弁護士を探し始めていたのでは手遅れになることもあります。

信頼できる顧問の弁護士がいれば,事前の相談のみならず,いざ法的トラブルが発生した際にも,即座にその弁護士に対応を依頼することが可能となります。

初期段階から弁護士による対応を行えば,紛争の拡大を防ぐことのできる可能性は格段に高まります。

 

 弁護士費用について一定程度の特典を得られる場合があること

弁護士と顧問契約を締結すれば,確かに月額などのランニングコストが発生することになりますが,他方で,相談費用や案件対応費用などについて一定程度の特典を得られることがあります。

 

 顧問弁護士がついていることを外部に表示できること

顧問弁護士がついていることを自社ホームページに掲載するなど,外部に表示することが可能となります。

顧問弁護士がいることは,「法的な面をきちんとしている。」などの印象を外部に与えることができ,取引先などの信頼を高める効果が得られるでしょう。


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