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法律コラム

「家族信託」をご存知ですか?

2018年06月08日

「家族信託」って何?

皆さんは「家族信託」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「終活」という言葉が流行していますが、その終活の方法の一つとして、「家族信託」という手法が最近注目を集めています。

「成年後見制度と比べて、家族信託は柔軟な対策ができる。」「家族信託で遺言としての機能も果たせる。」などの話を聞いたことがあるかもしれません。

それでは、そもそも「家族信託」とは一体何なのでしょうか。

 

家族信託は、信頼する家族へ財産を託すこと

「家族信託」とは、簡単に言うと、信頼する家族に対して自分の財産を託すことです。

家族に託すので、「家族信託」と言われています。

託す財産というのは、例えば、預貯金や不動産、株式などです。

「託す」と言っても、「任せたからね。」と口頭で伝えるだけではありません。

正式に家族信託についての契約書を取り交わすことになります。

どのような行為を託すのかということも、契約書の中できちんと定めることになります。

例えば、その財産の管理だけを任せるのか、売却などの処分も任せるのか、さらには資産運用まで任せるのか、託す内容について詳しく契約書の中で定めます。

 

 

家族信託はどういう時に利用するの?

では、家族信託が利用されるのはどういう場合でしょうか。

例えば、持ち家で一人暮らしをしている親が、将来、認知症等で判断能力が低下した時には、高齢者向け施設に入居する可能性があるというケースを考えてみましょう。

高齢者向け施設に入居する際には、親は自分の持ち家を売って施設の費用や医療費、介護費等に充てたいと考えています。

ところが、持ち家を売るべき状況になったとしても、認知症発症によりすでに判断能力が低下していれば、家の売却手続きを行うことはできません。

親の持ち家ですので、子が代わりに売却手続きをすることもできません

成年後見人の選任を裁判所に申し立てて対応するという方法もありますが、手続きの手間や時間、費用の負担が家族に生じる上に、家族以外の第三者(専門職)が成年後見人に選任される可能性もあります。

そこで、あらかじめ持ち家の管理や処分を信頼できる子に託す「家族信託」が有効な選択肢の一つとなります。

信託を受けた子は、親に代わって親の持ち家を売却することが可能になります。

そして、その売却代金から、親の生活や医療、介護等の費用を支払ってもらうように、子に管理を任せることができます。

このような家族信託の活用により、親は、自分が認知症になってしまった時も安心して暮らすことができます

また、子にとっても、実家の管理や処分をスムーズに行うことができるという大きなメリットがあります。

親には、「子を信頼しているけれども、自分が認知症になった後もきちんとやってくれるのか少し不安だな。」という気持ちもあるかもしれません。

その場合、家族信託契約の中で、子がきちんと財産管理等をしているのかを監督してくれる「信託監督人」を設定することもできます。

信託監督人には、家族信託に詳しい弁護士等の専門家を設定することが望ましいでしょう。

 

家族信託には遺言機能を持たせることもできる

ご説明した例はいわゆる認知症対策ですが、家族信託の活用方法のごく一例に過ぎません。

家族信託は認知症対策だけでなく、親が亡くなった後の遺言書としての機能を発揮することもできます。

親が亡くなると、通常、家族信託契約は終了し、子が親のために財産管理等をする任務は終了します。

家族信託の契約において、信託終了後に残った親の財産(これを「残余財産」と言います。)を誰に帰属させるのかという点を、あらかじめ決めておくことができるのです。

このように、家族信託契約に遺言書のような機能を持たせることもできるのです。

他にも、アパート経営をされている方の承継対策、相続対策としてのマンション建築、孫世代までの資産承継対策、さらにはペットの信託など、家族信託は様々なご要望に応えることができる魅力的なツールとなっています。

 

家族信託について是非ご相談ください

ご説明したとおり、家族信託は単なる口約束ではなく、正式に契約書を取り交わすことが必要となります。

もちろん、単に契約書を取り交わせばいいというだけではなく、どのような信託の形とするのか、その計画段階から慎重に吟味する必要があります。

したがって、家族信託を計画し、契約等の手続きを行うためには、家族信託に精通した専門家のサポートが不可欠となります。

また、家族信託の契約を取り交わした後も、信託監督人として弁護士等の専門家を置くことが望ましいケースもあります。

家族信託を計画し、実行していくには、専門家の力が必須となるのです。

当事務所の弁護士徳満は、成年後見や相続の案件を取り扱っているだけでなく、一般社団法人家族信託普及協会より家族信託専門士の認定も受けております。

成年後見や相続についてはもちろんですが、家族信託についても、ぜひ当事務所へご相談ください


暴行・傷害事件を起こしてしまったら

2016年12月01日

暴行・傷害事件を起こしてしまったら

暴行・傷害事件を起こしてしまった場合、あるいは、家族や友人が暴行・傷害事件を起こしてしまった場合、どのようにその後対応すればよいのか、何も分からずパニックになるかもしれません。 何があっても暴力は許されることではありませんから、深く本人が反省すべきなのは当然のことですが、その後刑事手続などはどのように進むのでしょうか。弁護士の行う対応も踏まえ、ご説明したいと思います。

 

暴行・傷害事件の特徴

暴行罪については、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金又は拘留(1日以上30日未満の刑事施設への拘置)若しくは科料(千円以上1万円未満)に処するという法定刑が定められており(刑法208条)、傷害罪については、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処するという法定刑が定められております(刑法204条)。

暴力によって他人が生理機能に障害を負った場合には傷害罪となり、生理機能を損なわなかった場合には暴行罪となります。

生理機能の障害とは、平たく言うと怪我を負ったことなどですが、怪我だけでなく、病気の罹患なども含みます。

初犯の場合、罰金処分になることが多い印象ですが、特に傷害事件の場合、逮捕され、長期間の勾留が続くことも珍しくありません。

また、前科の有無や傷害結果の重大性などに応じ、公判請求がなされて刑事裁判が開かれ、懲役刑が求刑されることもあります。

他方、被害弁償や被害者との示談などの点が考慮され、早期釈放、不起訴処分となることもあります。

 

暴行・傷害事件への対応

例えば、家族が暴行・傷害事件を起こして逮捕されてしまった場合、今後の対応を考えるため、まずは本人に話を聞く必要があります。

ところが、逮捕期間(最大72時間)は、家族であっても、本人との面会を行うことはできません。

逮捕後、勾留手続きに移行した後は、家族も本人との面会を行うことはできますが、最大72時間の逮捕段階は、弁護士でなければ本人に会うことができないのです。

そこで、本人の言い分や、緊急に対応しなければならないことなどを確認するため、弁護人に依頼し、早急に本人に会いに行ってもらうことが望ましい対応と言えるでしょう。

本人の言い分を聞き、被疑事実に間違い無いということであれば、被害弁償や示談交渉を検討することになります。

この点は、前述のとおり、処分結果や釈放時期に大きな影響を与えます。

被害弁償や示談交渉については、被害者と連絡を取って行う必要がありますが、通常、加害者本人やその家族が行うことは困難ですので、弁護士に対応を依頼することになります。

また、処分結果には大きく影響しない可能性もありますが、被害弁償や示談交渉のほか、本人の反省や更生も当然ながら重要です。この点については、家族の監督など、周りの支えも必要となることが多いです。

以上の対応について、特に逮捕勾留されているケースではできる限り速やかに対応を開始する必要がありますが、在宅事件となった場合も、刑事処分が下されるまでの間に対応する必要がありますので、余裕をもって対応を開始すべきでしょう。

なお、逮捕勾留期間は最大合計23日間ですが、公判請求されて刑事裁判が開かれることとなった場合は、引き続き勾留が続くことになります。

 

 

当事務所は、捜査を受けている本人またはご家族からのご相談については、初回無料相談(30分)を実施しております。 (当事務所の営業時間は平日9時〜18時ですが、夜間や土日祝のご相談も承っております。その場合、30分5400円(税込)の相談料が発生しますが、相談の結果、正式にご依頼頂ければ相談料は無料となります。) 弁護士のスケジュール調整が可能であれば、当日にご相談に乗ることも可能です。 家族や知人が逮捕されている、在宅で捜査を受けているなどの場合、まずは当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 


弁護士に離婚相談をするタイミング

2016年11月11日

弁護士に離婚相談をするタイミング

離婚問題について弁護士に相談する方は数多くいらっしゃいます。

しかし、いざ弁護士に離婚相談をしようと考えても、一体どういうタイミングで相談に行けばいいのか、よく分からないかもしれません。

以下、緊急度別に具体例を挙げながら、私の考える、弁護士のところへ離婚相談に行くべきタイミングをご説明します。

 

【緊急度低】念のため弁護士に相談をしても良いタイミング

「緊急度低」とは書きましたが、実はこのタイミングでご相談頂くのがとても重要なケースもあります。

風邪は引き始めの対応が大事と言いますが、離婚問題も早めの対応が大切なケースが多々あります。

①離婚の話が進んでいるが、離婚条件に疑問がある場合

当事者間で離婚に向けての話が進んでいるものの、養育費や財産分与などの離婚条件について疑問がある場合、念のため弁護士に相談すると良いでしょう。

離婚条件の内容だけでなく、公正証書の形式とするなど、形式面についても併せてご相談されることをお勧めします。

一度正式に取り決めた離婚条件は、後からは覆すことができないおそれが大きいです。

内容が妥当ではなかった、漏れがあったなど、後から気づいてもあとの祭りとなってしまいかねません。

これから離婚協議をしようと思うが、不安が大きい場合

これから離婚協議をしたいと考えるものの、配偶者の性格その他の事情などから揉める可能性が高い場合、予め弁護士に相談してもよいと思われます。

特に心配な点を弁護士に伝え、予め準備できることや対処すべきことについて確認しておくことをお勧めします。

すぐに弁護士に依頼する必要がなくとも、事前段階から継続的に弁護士に相談しておけば、いざという時にそのまま相談してきた弁護士に依頼できるので安心です。

配偶者の不貞が発覚した場合

配偶者の不貞が発覚した場合、どのように対処すればいいのか混乱してしまうかもしれません。 そのような場合、弁護士に一度相談することをお勧めします。 すぐに行動には移さなくとも、弁護士に継続的に相談するのは有効です。

 

【緊急度中】弁護士への相談をおすすめするタイミング

当事者間では離婚の話が進まない場合

配偶者が感情的になってしまうなど、当事者間ではどうにも離婚協議が進まない場合、弁護士への相談をお勧めします。

弁護士が入ることにより、進展のなかった離婚協議や離婚調停がスムーズに進んだというケースは多くあります。

配偶者や不倫相手に対して慰謝料を請求する場合

配偶者やその不倫相手に対して慰謝料を請求する場合、自分自身で対応することも考えられますが、できれば弁護士へ一度相談することをお勧めします。

弁護士に依頼するのが困難な場合は、最低限、継続的に請求内容や請求方法などについて弁護士に相談するのがよいでしょう。

 

【緊急度高】すぐに弁護士に相談した方がよいタイミング

配偶者に弁護士がついた場合

配偶者の代理人弁護士から通知が届くなど、配偶者に弁護士がついた場合、こちらもすぐに弁護士へ相談した方がよいでしょう。

弁護士を相手に交渉や調停を自分自身で行うことは、法的な面で不安になるだけでなく、精神的にも不安になってしまうことが多いです。

できればこちらも弁護士に相談の上、代理人となってもらうのがよいでしょう。

弁護士や裁判所からの手紙が届いた場合

弁護士から慰謝料請求の通知書が届いた場合や、裁判所から調停の申立書などが届いた場合、当事者間だけでの話し合いを行うことはもはやできませんので、弁護士への相談を行った方がよいでしょう。

特に訴訟にまで発展した場合、自分自身で対応するのは非常にリスキーです。

 

 

当事務所では離婚問題を重点的に取り扱っております。

弁護士によっては、離婚問題をあまり取り扱わないという弁護士もいますが、当事務所では離婚問題を重点分野として積極的に取り扱っております。

離婚問題について経験豊富な弁護士がご相談に応じますので、安心してご相談ください。

当事務所では、離婚問題について、初回30分無料の法律相談を実施しております。 また、夜間や土日祝でのご相談も受け付けております(営業時間外での初回相談は、30分5000円(税別)の相談料が発生しますが、正式にご依頼いただいた場合、相談料は無料となります)。 お問い合わせフォームから24時間受け付けておりますので、どうぞお気軽に当事務所までお問い合わせください。

 


交通事故の過失割合はどのように決まる?

2016年10月28日

交通事故の過失割合はどのように決まる?

交通事故の被害に遭ったとき、しばしば争点となるのが過失割合です。

自分の運転にはどこにも過失なんて無かったと思っていたところ、相手の保険会社から一定の過失を主張されてしまい、とても納得いかないというご相談はよくあるケースです。

それでは、交通事故での過失割合はどのようにして決まるのでしょうか。 この記事では、裁判所や弁護士、保険会社がどのようにして過失割合について判断するのかにつき、ご説明します。

 

過失割合を決める基準となる本

過失割合を決める上で、「別冊判例タイムズ38 全訂5版」(以下、「別冊判例タイムズ」といいます。)という本が基準となります。なお、2016年現在で5版なので、今後も改版される可能性があります。

この本は東京地方裁判所の裁判官が議論を重ねて作成されたものであり、裁判所や弁護士、保険会社が過失割合を判断する上で基準とするものになっています。

内容としては、様々な事故の類型を列挙し、各事故類型における基本的な過失割合が記載されています。

そこで、交通事故での過失割合を決める上で、当該交通事故が別冊判例タイムズ上のどの事故類型に当てはまるかを検討することが出発点となります。

 

過失割合を決める上での修正要素

別冊判例タイムズ上のいずれかの事故類型に該当するとしても、そこに掲載されている基本割合が、そのまま過失割合として認定されるとは限りません。

別冊判例タイムズには、基本割合だけでなく、修正要素も記載されています。

したがって、例えば、速度違反や合図なし、夜間、その他の著しい過失などの各事情により、基本割合が修正される可能性があるのです。

また、そもそも判例タイムズ記載の事故類型にそのまま当てはまらないというケースもあるので、その場合は、基本割合をそのまま当てはめるのも妥当でない可能性があります。

以上のとおり、交通事故での過失割合を決めるにあたっては、基準となるものがありますが、実際に発生する交通事故の個別事情は様々です。

自分自身で過失割合を判断するのは難しく、リスクを伴いますので、一人で悩まず、まずは弁護士にご相談ください。

 


話し合いで離婚できない場合はどうする?法律上の離婚原因って何?

2016年10月14日

話し合いで離婚できない場合はどうする?法律上の離婚原因って何?

離婚手続きは大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つがあります。

協議離婚は裁判所の外で話し合いを行う手続き、調停離婚は裁判所で話し合いを行う手続きになります。

しかし、協議をしても調停をしても離婚が成立しない場合、裁判離婚を検討することになります。

その際、法律上の離婚原因について検討することが必須となります。

 

裁判離婚とは?離婚訴訟ってどんな手続き?

裁判離婚とは、裁判所に離婚判決を出してもらい、離婚を成立させる手続きです。

裁判離婚をするためには、離婚を求める側から、離婚訴訟を起こさなければなりません。

しかしながら、原則として、離婚訴訟を起こす前に、まずは離婚調停で離婚に関する話し合いをしなければならないとされています。これを調停前置主義といいます。

したがって、まずは離婚調停で話し合いを行い、離婚調停では離婚に関する話し合いがまとまらず、調停不成立となった場合に、離婚訴訟を提起するか否かにつき、検討することになります。

それでは、離婚訴訟とはどのような手続きでしょうか。

基本的には、訴訟ですので、通常の訴訟と同様の手続きとなります。

離婚調停を自分で申し立てたという方もいらっしゃるかもしれませんが、離婚訴訟は、手続きが離婚調停とは大きく異なります。

まず、離婚訴訟では、口頭ではなく、書面を提出して主張することが原則となります。 離婚調停では、調停委員の方が色々と話を聞いてくれますが、訴訟手続きでは、法的ポイントを押さえた書面を提出して主張しなければなりません。

次に、調停とは異なり、話し合いがまとまらなければ、判決を下されるという点です。 離婚訴訟においても、和解の話し合いが行われることはあります。

しかし、話し合いがまとまらなければ、裁判官によって判決が下されます。

したがって、離婚調停とは異なり、的確な主張立証が全く行われていなかったり、知らないうちに自分に不利な主張を繰り返していれば、自分にとって不利な判決が下されるおそれがあるのです。

このような離婚訴訟の特徴からすれば、離婚訴訟手続きをとる場合には、必ず弁護士に相談し、できるだけ弁護士に手続きを依頼した方が良いと言えるでしょう。

 

法律上の離婚原因って何?

離婚訴訟を提起して離婚を求めるためには、法律上の離婚原因を主張立証しなければなりません。

法律上の離婚原因は、民法770条1項各号に記載されています。 1号から5号まであり、以下のとおりです。

①配偶者に不貞な行為があったとき

②配偶者から悪意で遺棄されたとき

③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき

④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

⑤は包括的な条項になりますが、婚姻関係がもはや修復不可能なほどに破綻していることをいいます。

具体例としては、長期間の別居や暴行・虐待、犯罪行為、不就労・浪費などです。

もっとも、単純にこれらの有無を見るわけではなく、具体的な態様や程度、頻度、期間など、諸事情を総合的に考慮し、婚姻関係がもはや修復不可能なほどに破綻しているか否かを検討することとなります。

要はケースに応じて個別具体的に検討することが重要となりますので、インターネット上の知識に振り回されることなく、弁護士に個別相談されることをお勧めします。

 

 


刑事事件でも勾留されない場合がある?在宅捜査とは?

2016年09月23日

刑事事件でも勾留されない場合がある?在宅捜査とは?

刑事事件というと、逮捕勾留されて刑事裁判にかけられるというイメージがあるかもしれません。

しかしながら、刑事事件の全ての場合について、逮捕勾留され、刑事裁判にかけられるというわけではありません。

自宅で普段の生活を続けながら、捜査が行われ、刑事裁判についても省略されるという場合もあるのです。

一般的にはあまり知られていませんが、前科の無い者が罪を犯し、かつ、比較的軽微な事案である場合、このような事件処理がなされることは多いです。 以下、在宅捜査の手続きの流れなどについてご説明します。

 

在宅捜査の手続きの流れ

在宅捜査となるパターンは幾つか考えられますが、「現行犯で逮捕されたものの、逮捕に引き続き勾留されることなく釈放され、在宅での捜査となる。」というケースが多いように思われます。

なお、釈放の際には、身柄を引き受ける者が警察署へ迎えに行く必要があります。

在宅捜査となった後は、普段どおりの生活を送ることが可能となります。 もっとも、取調べなどのため、警察や検察から呼び出しを受けることになりますので、これに対してはきちんと応じなければなりません。

捜査機関は、捜査に時間的制約のある身柄事件(逮捕勾留がなされたまま捜査がなされる事件)を優先的に処理しますので、在宅捜査が完了するまで数か月かかる場合も多いです。

したがって、なかなか呼び出しの連絡が来ないということもありますが、捜査対象となっていることには変わりありませんので、対応を怠らないよう注意しなければなりません。

 

在宅捜査にはどのように対応すればいい?

在宅捜査への対応としては、まず、前述のとおり、捜査機関からの呼び出しなどにきっちりと応じるようにするという点があります。

もっとも、当然ながら、捜査機関の意向には全て応じなければならないということではありません。

例えば、供述調書の内容に誤りがあれば、内容を訂正するよう求めることは重要な権利の一つですので、捜査機関に対して訂正を求めることを臆する必要はありません。

次に、被害者のいる犯罪であれば、被害者の方に対する謝罪や、示談の申し出を検討する必要があります。

謝罪や示談に関しては、本人が自ら被害者側と接触するのは困難ですので、弁護人を選任し、弁護人を通じて進めることになります。

被害弁償や示談がなされた場合とそうでない場合とでは、最終的な処分等が変わる可能性が大きいので、これらの対応は重要になります。

さらに、当然のことではありますが、内省を深め、更生や再犯防止に向けて真剣に考える必要があります。

場合によっては、カウンセリングを受ける、自助団体の活動に参加する、家族の監督下に身を置くことなども検討します。

 

 

当事務所は、捜査を受けている本人またはご家族からのご相談については、初回無料相談(30分)を実施しております。 (当事務所の営業時間は平日9時〜18時ですが、夜間や土日祝のご相談も承っております。その場合、30分5400円(税込)の相談料が発生しますが、相談の結果、正式にご依頼頂ければ相談料は無料となります。) 弁護士のスケジュール調整が可能であれば、当日にご相談に乗ることも可能です。 家族や知人が逮捕されている、在宅で捜査を受けているなどの場合、まずは当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 


婚姻費用って何?婚姻費用の金額はどうやって決める?

2016年09月13日

婚姻費用って何?婚姻費用の金額はどうやって決める?

「婚姻費用」という言葉をご存知でしょうか。おそらくあまり聞き慣れない言葉だと思います。 しかしながら、婚姻費用は、離婚問題の解決にあたってとても重要なポイントとなることが少なくありません。

婚姻費用とは何か、婚姻費用の金額はどうやって決まるのか、婚姻費用に関する法的手続きにはどのようなものがあるのか。

これらを知ることは、一筋縄ではいかない離婚問題に立ち向かうにあたって非常に重要です。

 

婚姻費用って何?なぜ重要?

婚姻費用とは、夫婦が別居中、夫婦や子どもの生活費などの、婚姻生活を維持するために必要となる費用のことを言います。

夫婦が同居している間は、いわゆる「夫婦の財布は一つ」なので、生活費の分担の問題は生じにくいです。しかし、夫婦が別居するに至ったという場合、婚姻費用を夫婦間でどのように分担するかという問題がしばしば発生します。

夫の方が妻よりも多くの収入を得ており、また、妻の方で子どもを養育しているというケースが多いですが、この場合、夫から妻に対して、婚姻費用として一定の金額を毎月支払うということになります。

ポイントは、別居が解消するまで、あるいは離婚が成立するまでの間、毎月発生し続けるという点です。

毎月発生し続けるということは、互いの毎月の生活に大きな影響を及ぼし続けることになります。

したがって、妻側からすれば、婚姻費用を適切に得られなければ、自分の生活や子どもの養育が危機に晒されてしまう恐れがあります。

他方、夫側からすれば、婚姻費用の支払金額が過度に大きければ、毎月の自分の生活が圧迫され続けるということになります。

離婚問題は、夫婦が別居している状況で、協議や調停が行われることが少なくありません。

そうすると、離婚問題が解決するまでの間、婚姻費用は毎月発生し続けることになります。

したがって、婚姻費用が支払われているのか否か、支払金額がいくらになるのかはとても重要なポイントとなるのです。

事案によっては、婚姻費用が、離婚問題の交渉に大きく影響を及ぼすこともあります。

 

婚姻費用はどうやって決める?婚姻費用を決める手続きとは?

婚姻費用は、養育費と同じく、裁判所が公開している算定表を参照し、金額を決定することが多いです。

金額が決まるポイントとしては、夫婦それぞれの年収と、子どもの人数・年齢です。

夫婦間の年収差が大きければ大きいほど、婚姻費用としての支払金額も大きくなります。 また、子どもの人数が多いければ多いほど、必要となる生活費が多額になりますので、婚姻費用としての支払金額も大きくなります。

よくある質問として、「〇〇にかかった費用を夫に請求できますか。」「〇〇の費用は妻に払わないといけないでしょうか。」という質問があります。

しかし、原則として、特定の出費について支払わないといけないかどうかという判断をするのではなく、前述のように、お互いの年収と子供の人数・年齢を踏まえて、トータルでいくらを婚姻費用とすべきなのかという算定をします。

なお、婚姻費用の算定において、算定表では適切な金額とはならない特殊な場合もありますので、弁護士に一度相談するのが良いでしょう。

婚姻費用は、夫婦間の話し合いで決めることができれば良いですが、話し合いでは決まらないケースも多いです。

この場合、婚姻費用の分担を求める調停を申し立てることになります。

通常、婚姻費用の支払を求める妻側が調停を申し立てることになります。 婚姻費用分担調停は、離婚調停とは異なりますので、きっちりと婚姻費用の請求を行いたい場合は、離婚調停とは別に、婚姻費用分担調停を申し立てる必要があります。

ここでのポイントは、婚姻費用分担調停の対象となるのは、調停を申し立てた月からの婚姻費用という点です。

遡って過去の婚姻費用を求めることはできないのです。

したがって、妻側としては、婚姻費用の支払いが適切になされていないのであれば、できる限り速やかに婚姻費用分担調停を申し立てることが重要といえます。

 


家族や知人が逮捕されてしまったら

2016年09月05日

家族や知人が逮捕されてしまったら

家族や知人が警察に逮捕されてしまった時、どのように対応すればいいのか、今後どうなってしまうのか、ほとんどの人が何も分からずパニックになってしまうと思います。

しかしながら、刑事事件では早期の対応がとても重要です。 どのような手続きの流れになるのかを踏まえた上で、家族や知人が動き、早期段階から適切に対応する必要があります。

 

逮捕後の刑事事件手続きの流れ

警察により逮捕がなされると、通常、警察署内の留置場に収容されます。

その後、48時間以内に検察庁へ送致され、検察官が被疑者の弁解を録取し、24時間以内に引き続き被疑者の身体を拘束する「勾留」請求するかどうかの判断を行います。

合わせて72時間以内のこの期間を逮捕段階と言い、その後、勾留されると、勾留段階へと移行します。

逮捕段階は、弁護人になろうとする者や弁護人しか面会することができず、家族や知人は被疑者本人に面会できません。

勾留段階へ移行すると、最大10日間、勾留延長がなされた場合は最大20日間、身体を拘束されることになります。

その間、家族や知人は面会可能ですが、平日の限られた時間帯で1日1回15分までなど、制約があります。

これに対し、弁護人は、被疑者が留置場にいる間、無制限に接見(面会)をすることができます。

勾留がなされずに、あるいは勾留途中で釈放され、在宅での捜査がなされることもあります。

この場合は、警察や検察から電話があり、適宜の日時に出頭し、取り調べなどに応じることになります。

これに対し、勾留されたまま捜査がされる場合は、勾留満期近くで検察官が処分を決めます。 処分には大きく分けて、公判請求、略式起訴、不起訴の3つがあります。

公判請求は、正式に裁判を行うことを求めるものです。

この場合、公判手続に進みます。

勾留されたまま公判請求された場合は、引き続き公判が終了するまでの間、勾留されることになります。

通常、公判までの間に、途中で留置場から拘置支所へ移送されます。

公判請求がされた後は、一定金額の保釈保証金を積み立て、一時的に釈放を求める保釈請求をすることが可能になります。

略式起訴は、正式な裁判手続きを省略し、罰金刑を科す手続きです。

罪を否認している場合には裁判手続きを省略するわけにはいきませんので、略式とはなりません。

略式起訴の場合、その旨を検察官から告げられ、後日罰金納付の通知が自宅に届くという流れになります。

不起訴は、刑事処分を科さないという決定です。

不起訴には大きく分けて、起訴猶予の場合と、嫌疑不十分の場合があります。

起訴猶予とは、罪を犯したものの、情状を考慮し、今回は刑事処分を科さないという決定です。 嫌疑不十分とは、罪を犯した疑いが十分にあるとはいえないため、刑事手続きをこれ以上は行わないという決定です。

 

刑事事件において早期段階から対応すべきこと

 本人から話を聞く

どのように今後対応すべきなのか、方針を立てるためにはまず本人から話を聞かなければなりません。

逮捕された被疑事実(容疑)は間違いないのか否か、どのような経緯で事件が発生したのか、被害者の方との関係性、仕事や生活で緊急に対応しなければならない用件はあるのか、などを聴取する必要があります。

しかしながら、前述のとおり、逮捕されてから72時間以内の逮捕期間中は、一般の方は面会することができません。

この逮捕期間中に本人から話を聞くためには、弁護士に動いてもらわなければならないのです。

 示談に関して準備をする

被害者の方がいる犯罪の場合、量刑に関する事情で最も重要なのは、被害者の方への弁償や示談です。

何ら弁償を受けられないというのは被害者の方にとっても当然酷に過ぎますので、弁護人を通じて適切な弁償や示談を行うことが大事です。

そして、被害弁償や示談成立は、早期の身体拘束からの解放などにも繋がりますので、早期に対応することが重要といえます。

被害弁償や示談の話を加害者の身内が行うわけにはいきませんので、専門家である弁護人に介入してもらうことが必須となります。

 身体拘束からの解放に向けて対策を練る

身体拘束からの解放に向けて、法的手続きをとることは可能です。

もちろん、現行犯逮捕などを除き、身体拘束は裁判所の判断を経て行われているものなので、これに対する不服申し立ては簡単に通るものではありません。

しかしながら、前述の示談手続きなど、早期に準備を進めることにより、早期に釈放される可能性は高まります。

 何よりもまずは弁護士に相談する

早期段階から対応すべきことを説明してきましたが、いずれも弁護士による活動が必須といえます。

したがって、家族や知人が逮捕された場合、何よりもまずは弁護士に相談することが重要です。

 

 

当事務所は、捜査を受けている本人またはご家族からのご相談については、初回無料相談(30分)を実施しております。 (当事務所の営業時間は平日9時〜18時ですが、夜間や土日祝のご相談も承っております。その場合、30分5400円(税込)の相談料が発生しますが、相談の結果、正式にご依頼頂ければ相談料は無料となります。) 弁護士のスケジュール調整が可能であれば、当日にご相談に乗ることも可能です。 家族や知人が逮捕されている、在宅で捜査を受けているなどの場合、まずは当事務所までお気軽にお問い合わせください。

 


離婚調停ってどんな手続き?

2016年08月30日

離婚調停ってどんな手続き?

離婚調停や離婚裁判という言葉をよく耳にするかもしれませんが、具体的にどのようなものなのか、なかなかイメージが湧きにくいものです。

特に離婚調停については、離婚訴訟よりも利用する可能性の高い手続きですので、どのような手続きなのか知っておくことは大事です。

そこで、離婚調停がどのような手続きなのか、概要をご説明します。

 

離婚調停とは

離婚調停とは、簡単に言うと、主に離婚に関して、家庭裁判所において話し合いを行い、話し合いがまとまった際には正式な取り決めを交わす手続きをいいます。

裁判所で行う手続きですが、調停官や調停委員の方に間に入ってもらい、話し合いをすることを基調としています。

また、裁判とは異なり、裁判官に判決を言い渡されるということはありません。

したがって、調停の段階で、離婚を命じられるなどの判決がなされることは無いのです。

もっとも、調停官や調停委員も、「法的に妥当な結論」を意識しながら話し合いを進めたり、調停案を提示しますので、調停の段階においても、法的に有効な主張立証を意識することは重要です。

ただ、離婚調停では、それまでの夫婦生活で色々と言いたかったことをぶつけてしまいがちなので、冷静な主張を自分で行うことはなかなか困難です。

また、法的に有効な主張立証を行うためには、法律の専門家である弁護士を活用することを検討した方が無難でしょう。

 

離婚調停の手続きの流れ

離婚調停は、夫婦のうちのどちらかが、家庭裁判所へ申し立てることによって始まります。

家庭裁判所は全国にありますが、原則として、申し立てられる側の人の住所を管轄する家庭裁判所へ申し立てることとなります。なお、札幌市や江別市、恵庭市、千歳市、北広島市、石狩市などは、札幌家庭裁判所の管轄となります。

調停が申し立てられると、調停申立書が相手方へ送達されると共に、第1回調停期日が指定されます。

調停期日に双方が家庭裁判所に出頭し、話し合いを行うことになるのです。

話し合いの方法ですが、夫婦双方が面と向かって話し合うのではなく、交替で調停室に入り、調停委員にそれぞれ話を聞いてもらうという方式をとります。

もっとも、代理人弁護士がついていない場合は、最初の手続説明の時や、調停成立の際に、夫婦双方が通常同席することになります。

代理人弁護士がついていれば、手続説明が省略され、調停成立の際も弁護士に相手と同席してもらえます。

調停成立というのは、話し合いがまとまり、取り決めをすることを言いますが、話し合いがまとまらなければ、調停不成立で終了となります。

離婚調停において調停不成立の場合は、どちらかが離婚訴訟を提起しない限り、特段何も取り決められないままです。

これに対し、別居中の婚姻費用に関する調停の場合は、調停不成立となったとしても、自動的に審判手続きへ移行します。

審判手続きでは、当事者間で話し合いがまとまらなくとも、裁判所が審判を下し、一定金額の婚姻費用を支払えなどの命令がなされます。

 


債務整理の方法

2016年08月26日

債務整理の方法

借金問題を解決する債務整理には、大きく分けて3つの方法があります。 任意整理、個人再生、自己破産の3つです。

各手続きには、それぞれメリットとデメリットがあります。

以下、それぞれの債務整理の方法の概要をご説明します。

 

任意整理とは

任意整理とは、弁護士が代理人となって各債権者と交渉し、利息や遅延損害金のカット、分割払いなどを試みる手続きのことをいいます。

基本的に最低限元金については全額支払わなければなりません。

メリットとしては、 保証人がついている借り入れについては任意整理をしないなど、任意整理を行う借入を選択することができること、 裁判所に申し立てを行う手続きではないので、個人再生や自己破産に比べると手続きが簡便であること、 などを挙げることができます。

 

個人再生とは

個人再生とは、裁判所に申立てを行い、利息や遅延損害金だけでなく、元金も含めて大幅に減額してもらう手続きです。

任意整理とは異なり、元金についても大幅に減額してもらえるというメリットがあります。 反面、全ての借り入れについて平等に、個人再生の対象としなければならないというデメリットもあります。

もっとも、例外として、自宅の住宅ローンについては、一定の場合、特別に個人再生の対象から外し、自宅を競売にかけられないようにすることができます。 これを住宅資金特別条項と言います。

 

自己破産とは

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、税金等を除き、借金を全て0にしてもらう手続きです。 支払わなければいけない金額が0になるというのが大きなメリットです。

反面、自宅や売却価値のある車、解約返戻金の発生する生命保険などの財産がある場合には、原則として、これらの財産を債権者への配当に充てた上でなければ、借金を0にはしてもらえません。

ただし、配当に充てるような財産が特段無いという場合は、配当は行われません。 これを廃止と言います。

なお、個人再生の場合と同様、全ての借り入れについて平等に、自己破産手続きの対象としなければなりません。

 

債務整理(借金問題)に関する無料相談のご案内

以上は債務整理の方法についての概要であり、注意点や知っておくべき事項は他にもたくさんあります。

どのような債務整理手続きをとるのが一番良いかについては、必ず弁護士に相談すべきと言えるでしょう。

当事務所では、債務整理(借金問題)に関するご相談を、初回30分無料としております。 当事務所では、北海道の借金問題について少なくとも500件を超える相談実績を有する弁護士が対応いたします。

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