ホームロイヤーとはかかりつけ医のような弁護士のこと
「ホームロイヤー」という言葉を皆さんは聞いたことがあるでしょうか?
ホームロイヤーとは、簡単に言うと「ホームドクター」のような、かかりつけのお医者さん的存在の弁護士のことを言います。
内閣府によれば、高齢者の一人暮らしは年々増加しており、2015年時点で、65歳以上の方のうち、一人暮らしをしている男性は全体の13.3%、一人暮らしをしている女性は全体の21.1%となっています。
このように一人暮らしをされている高齢者の方は、医療・介護のことや財産管理のこと、詐欺や消費者被害のことなどについて特に不安を抱えていらっしゃることと思います。
また、定期的に誰かに見守ってもらいたいという気持ちも少なからず抱えていることと思います。
そこで、昨今では、このようなご要望に法律の専門家である弁護士が「ホームロイヤー」という形で対応するようになってきました。
ホームロイヤー契約では、定期的に弁護士がご本人と連絡をとり、法律相談にも乗るという「見守り契約」の形でサービスを提供するのが一般的です。
また、見守りだけでなく、財産の全部又は一部の管理を弁護士に任せる「財産管理契約」などをセットで依頼されることもあります。
財産管理や遺言、死後事務のことも相談できる
ホームロイヤー契約では、弁護士に定期的に見守ってもらうだけでなく、法律相談をすることができます。
財産管理のことや遺言・相続のこと、亡くなった後の葬儀のことなどを弁護士に相談することができます。
そして、このようなことを定期的に相談していく中で、財産管理も弁護士に任せたいということであれば、追加で依頼することができます。
また、自分が認知症になった時にはホームロイヤーの弁護士に財産管理や施設入所の契約のことなどを任せたいと言う場合には、「任意後見契約」という契約を締結することが考えられます。
「任意後見契約」とは、認知症などで判断能力が低下した場合に本人に代わって財産管理等を行う後見人となる者をあらかじめ定めておく契約です。
さらに、遺言書の作成を任せることや、自分が亡くなった後の葬儀や医療費等の支払いを依頼する「死後事務委任契約」を行うことも考えられます。
財産の管理や処分を弁護士ではなく家族に任せたい場合には、昨今話題となっている「家族信託契約」をその家族との間で取り交わすことが考えられます。
この家族信託についても、弁護士に協力してもらうことが考えられます。
以上のように、ホームロイヤーの活用の仕方は様々です。
ホームロイヤーに継続的に見守ってもらい、相談に乗ってもらうだけという選択肢もあれば、財産管理や任意後見も任せるという選択肢もあります。
重要なのは、不安や心配事を一人で抱え込まず、専門家にまずは相談だけでもしておくことです。
専門家に相談しながら、選択肢を広げることを検討すれば良いのです。
ホームロイヤー契約にかかる費用はどのくらい?
ホームロイヤーを弁護士に依頼する場合、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
継続的な契約ですので、やはり費用の部分が皆さん気になるところだと思います。
ホームロイヤー契約の契約内容にもよりますが、例えば、月に1回、電話で安否確認や法律相談を行う「見守り契約」の場合、月額1万円(税別)程度が一般的と思われます。
もちろん、安否確認や法律相談の頻度を変更し、費用もこれに応じた金額に変更するということも可能です。
見守り契約に加えて、弁護士に財産の全部又は一部の管理を任せる「財産管理契約」も行う場合、財産の規模などによりますが、おおよそ月額3万円(税別)〜月額5万円(税別)程度の費用になります。
認知症等になった時に後見人となってもらえるように、「任意後見契約」も行うことが考えられますが、この場合の費用も財産管理と同程度の相場になります。
ただし、任意後見の場合、任意後見人が活動をするには家庭裁判所による任意後見監督人の選任が必要となり、この任意後見監督人についての費用も発生することになります(任意後見監督人の報酬については、家庭裁判所が決定します)。
さらに、「死後事務委任契約」も行う場合、おおよそ30万円(税別)程度の費用が別途発生することになります。
このように見ると色々と費用がかかってしまうように思えますが、どこまでのサービスを弁護士に依頼するかは選ぶことができます。
最も危険なのは、不安や心配事をそのまま放置しておくことであると思います。
まずは「見守り契約」でホームロイヤーに継続的に相談することから始めてみてはいかがでしょうか。