離婚問題・交通事故・企業法務(顧問契約等)に強い、札幌とくみつ法律事務所


法律コラム

相続放棄の手続きの流れや費用

2018年12月05日

相続放棄が必要になることは誰にでもありうる

「相続放棄」という言葉を一度は聞いたことがあると思います。

相続放棄とは、相続人が遺産の相続を放棄することであり、相続放棄をすることにより、その方は初めから相続人でなかったことになります。

相続放棄の手続きは家庭裁判所に対して行うことになりますが、相続放棄の手続きが必要になることは誰にでも起こり得ます。

決して一部の特別な人だけが行う手続きではありません。

相続放棄のご相談としては、以下のようなケースがあります。

・兄弟の一人が亡くなったが、相続する気はないので、相続放棄をしたい。

・亡くなった親や兄弟に借金がある模様なので、相続放棄したい。

・両親が昔離婚したが、長年会っていない親が借金を抱えたまま亡くなったので、相続放棄したい。

・他の相続人と一緒に相続放棄をしたい。

亡くなった方に借金があるので放棄したいというケースだけでなく、相続人として関わる気はないという理由で相続放棄をするケースも多くあります。

重要なのは、相続放棄をしない限り、相続人は相続人の地位から逃れることができないという点です。

亡くなった方と長年関わっていない場合であっても、遠方に住んでいる場合であっても、相続放棄をしない限り、相続人は、相続人としての責任や負担を負うことになります。

 

 

 

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄の手続きの流れをご説明します。

相続放棄は、家庭裁判所へ申述書や必要書類を提出することにより行います。

まず重要なのが、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に提出しなければならないという点です。

「自己のために相続の開始があったことを知ったとき」とは、通常、被相続人の方が亡くなったことを知ったときを言いますが、例外もあります。

相続財産が全くないと信じ、かつ、そのように信じたことにつき相当な理由がある場合などです。

もっとも、原則としては、とても短い期限となっていますので、相続放棄を検討する場合、速やかに対応を開始されることをお勧めします。

速やかな対応をお勧めする理由として、必要書類である戸籍や住民票の収集に一定程度の時間を要するという事情があります。

特に戸籍については、被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍を提出しなければならない場合など、収集するのに時間を要するケースが多くあります。

また、必要書類の収集と同時に、相続放棄の申述書を作成する必要があります。

相続放棄の申述書を作成するにあたって注意しなければならないのは、被相続人が亡くなってから長期間が経過している場合です。

このような場合、なぜ相続放棄の期限が過ぎていないと言えるのかなどの点を説明しなければなりません。

申述書と必要書類が揃いましたら、家庭裁判所へ提出することになります。

被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ提出することになります。

遠方の家庭裁判所ということも多いですが、この場合、郵送で対応することになります。

申述書の提出後、通常、一定期間経過後に家庭裁判所から申述をした方に対して、照会書が届きます。

これは、相続放棄の意思や、亡くなったことを知ったときの状況などについての質問文書になります。

これについては、申述書との矛盾が生じないように記載するなどの注意が必要になります。

なお、照会書の他に、事案によっては家庭裁判所から追加資料の提出などの対応を求められることもあります。

照会書を家庭裁判所へ返送した後、家庭裁判所において相続放棄の受理が決まれば、相続放棄を受理したという通知書が届きます。

これで相続放棄の手続きは完了となります。

 

 

 

相続放棄の手続きにかかる費用

相続放棄の費用についても、皆さんが気になる部分だと思います。

まず、必要書類である戸籍や住民票を収集するのに実費がかかります。

取得が必要な通数にもよりますが、おおよそ数千円程度になります。

次に、裁判所に申述をする際に、印紙代(手数料)と切手代が発生します。

印紙代は申述人1人につき800円になります。

切手代は裁判所によって異なりますが、例えば札幌家庭裁判所の場合は、平成30年12月現在で246円になります。

ご自身で手続きを行う場合は、相続放棄にかかる費用は概ね以上になります。

弁護士に依頼し、相続放棄の手続きを代わりに行ってもらう場合、当事務所では1件につき5万円(税別)の手数料となっております。

もっとも、例えば、兄弟3人で相続放棄をするなど、複数の相続人の方から同時に相続放棄の手続きをご依頼頂く場合には、1件あたりの手数料を割り引かせて頂けます。

以上を見ると、弁護士への依頼費用が最も高額であるため、自分で相続放棄の手続きを行うのが得策のように思えるかもしれません。

しかしながら、前述のとおり、必要書類である戸籍の収集が複雑かつ大変な作業になることがあります。

また、被相続人が亡くなったことを知ってから3か月を過ぎている場合には、相続放棄の要件を例外的に満たすことを家庭裁判所に示さなければなりません。

したがって、専門家に任せることを検討して損は無いでしょう。

そして、相続放棄の手続きについて代理人となってもらえるのは弁護士だけですので、相談先としては弁護士をお勧めします。

 


離婚や不倫慰謝料についての弁護士への相談の仕方

2018年11月06日

弁護士に相談するには何から始めればいい?

離婚や不倫慰謝料のことについて弁護士に相談したいと思ったとき、何から始めればいいでしょうか?

弁護士への相談の実施方法は大きく分けて、①電話やメールでの相談②面談での相談、の2種類が考えられます。

①の電話やメールでの相談は、簡便な方法というメリットはありますが、情報の伝え漏れや関係資料の確認漏れなどの恐れがあり、具体的なアドバイスを得られない可能性があります。

したがって、できる限り②の面談での相談を選択すべきでしょう。

面談での相談をする場合、まずは法律事務所へ相談予約の問い合わせを行います。

法律事務所とのやりとりで相談日時が決まれば、その日時に法律事務所へ赴く、という流れになります。

なお、当事務所では、面談での相談のみを実施しております。

相談予約のお問い合わせは、電話やお問い合わせフォームでの受付のほか、スマートフォン用アプリ「LINE」での相談予約も受け付けております。

 

法律相談の時には何を持っていけばいい?

面談での相談を予約した後、いざ法律相談の当日には何を持っていけばいいでしょうか。

一般的には、以下の3点が考えられます。

①関係資料一式

②経緯について時系列でまとめたメモ

③印鑑(認め印で構いませんが、シャチハタ不可)

①の関係資料については、例えば、離婚や不倫慰謝料の問題であれば、相手方の弁護士からの通知書、相手方とのメールやLINEのやりとりなどが考えられます。

メールやLINEのやりとりについては、スマートフォンを持参し、そのまま弁護士に見せて頂ければ構いません。

また、特にそういったものは無いということであれば、持参資料無しでも構いません。

②のメモについては、A4用紙1〜2枚程度に簡単にまとめたもので構いません。

また、メモの作成は、パソコンで作成しても手書きで作成しても問題ありません。

交際の開始や結婚をした時から現在に至るまでの経緯を、時系列でメモに作成すると良いです。

また、夫婦それぞれの収入や財産、負債に関する情報もメモに記載すると良いでしょう。

相談の際に時系列を整理したメモを弁護士へ手渡せば、ご相談がスムーズに進みます。

③の印鑑は、正式依頼や継続相談サービスの依頼を希望される場合に必要になります。依頼しないという場合は必要ありませんが、念のため持参するのが良いでしょう。

 

 

離婚や不倫慰謝料の問題についての相談の仕方

相談日当日、弁護士と面談して相談する際、どのように話をすれば良いのでしょうか。

離婚について話そうと思うと、これまでの結婚生活で色々言いたかったことが湧き出てくるかもしれません。感情的になりたくなることもあるかもしれません。

しかしながら、弁護士への相談で重要なことは、大事な情報を中心として弁護士に伝えることです。

大事な情報というのは、法律上の判断や方針の選択をするにあたって必要な情報です。

もっとも、どのような情報が必要になるのか、よく分からないというご意見もあるでしょう。

その場合は、弁護士からの質問に答えるというスタンスでOKです。

弁護士の方で必要な情報を引き出すような質問をしますので、簡潔にそれに答えるだけでも構いません。不足があれば弁護士から追加して質問をします。

また、他に大事なこととして、結論としてどうしたいのかという自分の希望をある程度はっきりさせておくという点があります。

例えば、離婚したいのか離婚したくないのか、それとも離婚条件によっては離婚を考えるのかなどです。

まだ考え中ということでももちろん構いませんが、弁護士に相談して方針を選択する上で、最終的にはやはり自分の希望をはっきりさせる必要があります。

 

 

まずはお気軽にお問い合わせを

弁護士への法律相談の仕方について大まかな概要をご説明しましたが、いずれにせよ、まずは法律事務所へ問い合わせて頂ければと思います。

当事務所では、離婚や不倫慰謝料の問題について初回無料相談を実施しておりますので、是非ご活用ください。なお、営業時間外でのご相談については有料となりますが、その場で正式依頼となった場合には相談料は頂きません。

 

 


事業承継〜会社の将来のこと、考えていますか?〜

2018年09月28日

 

中小企業の「大廃業時代」がやって来た

皆様ご承知のとおり、日本の企業のうち、99.7%が中小企業です。

従業者数を見ても、中小企業の従業者が約7割を占めます。

中小企業は日本の経済や雇用、生活を支えている存在なのです。

そのような中小企業が今、「大廃業時代」を迎えようとしていることを皆様はご存知でしょうか?

廃業ラッシュが訪れると言われている大きな要因の一つは、経営者の高齢化にあります。

1995年頃には40代後半の経営者が最も多かったという調査結果がありますが、2015年には66歳前後の経営者が最も多くなっています。

最近の中小企業経営者の平均年齢も62歳前後という数値になっており、今後もさらに高齢化が進む見込みです。

経営者の平均引退年齢は70歳前後と言われているため、今後10年近くの間に大量の経営者が引退し、「大廃業時代」が訪れると危惧されています。

2015年には、現状を放置すれば、2025年頃までの10年間で、約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われるという推測もなされました。

このような中小企業の大廃業を回避するため、昨今注目されているのが「事業承継」です。

「事業承継」とは、会社を親族や従業員に引き継ぐことや、M&Aなどの方法で他企業へ引き継ぐことにより、事業の全部又は一部を他者へ引き継ぐことをいいます。

適切な事業承継を行うことにより、その中小企業が持っている技術やノウハウ、人材、資産などを失わせることなく、次世代においても活かすことができます。

 

 

事業承継は経営者だけの問題ではない

事業承継は、経営者だけが考えればいい問題ではありません。

事業を引き継ぐ後継者も、どのように事業を引き継ぐのか、当然ながら考える必要があります。

事業承継完了後は、現経営者ではなく、後継者が事業を継続していくわけですから、むしろ後継者こそ事業承継の内容に関心を持つべきとも言えるでしょう。

前述のとおり、中小企業の大廃業によって多くの雇用が失われるわけですので、従業員にとっても大きな問題です。

長年勤めてきた会社が廃業になり、仕事を失うことになってしまうのです。

仮に、他の会社で働けるようになったとしても、それまで培ってきた仕事の技術やノウハウを活かせないかもしれません。

取引先の企業にとっても他人事ではありません。

大口顧客であった企業が廃業になれば、大きな痛手となります。

このように、中小企業の廃業は、様々な人々に大きな影響を及ぼします。

 

事業承継は時間をかけて準備を進めることが鍵

事業承継の方法は大きく分けて、①親族への承継②親族外の従業員等への承継③他企業への売却(M&A)の3つがあります。

いずれの方法をとる場合であっても共通して言えるのは、時間をかけて準備を進めることが重要であるという点です。

イメージとしては、経営者の方は50歳を超えたら事業承継のことを考え始め、60歳前後には具体的な準備を開始するのが望ましいです。

早い時期から準備をしなければならない理由はいくつかありますが、まず、方針の検討に時間がかかるということが挙げられます。

経営者の意向に沿って方針を決めればよいと思われるかもしれませんが、法律の面や税金の面からすると、その方針は間違ったものかもしれません。

したがって、専門家に相談しながら、時間をかけて方針を検討する必要があります。

また、方針を決定しても、その後事情が変わり、方針を変えなければならない可能性もあります。

例えば、長男に会社を継がせようと思い、当初は長男もその気になっていたものの、その後、些細なことから親子喧嘩になり、長男が会社を継がないと言い出せば、計画は頓挫します。

計画を再び練り直すということになれば、時間がさらにかかることになります。

さらに、事業承継の手続きを完了した後も、時間をかけて引き継ぎ業務を行わなければならないこともあります。

例えば、これまで別の業界で働いていた子を後継者とする場合、子を代表取締役などとする手続きを完了したとしても、その日から子に会社の経営を全面的に任せることができるでしょうか?

手続きを完了させれば全て終了というのではなく、親が見守りながら引き継ぎを行う時間が必要でしょう。

このように、事業承継の円滑な実行には、じっくりと時間をかけることが必要になります。

そのため、早い時期から会社の将来のことを考え始め、実際に準備を進めることが重要になるのです。

 

 

まずは現状と自分の意向を整理することが出発点

それでは、事業承継の準備をすると言っても何から始めればいいのでしょうか。

まずは現状を把握した上で、自分の意向を整理することが出発点といえます。

現状の把握というのは会社の経営状況だけを把握すれば良いのではなく、株主や関係者、後継者候補の把握、さらには、経営者個人の資産や相続人となる予定の人物の把握も含まれます。

これらを把握した上で、経営者である自分がどのような希望を持っているのか、改めて整理することが大切です。

希望の方針は一つでなければならないわけではなく、複数の方針を考えておくのも良いです。

なお、中小企業庁のホームページなどでは、現状や意向の把握に役立つチェックリストが掲載されていますので、これらの整理の際には活用すると良いでしょう。

会社の経営状況などによっては、事業承継を行うのではなく、廃業を選択するのが適切という結論に達することもあるかもしれません。

大切なのは結論ではなく、専門家等に相談しながら時間をかけてしっかりと検討し、準備をすることです。

しっかりと対策をすることが、経営者自身のためになるばかりでなく、会社の従業員、経営者の家族、取引先、さらには日本社会のためになるのです。

当事務所では、企業の事業承継に関するご相談を承っております。

事業承継全般のこと、事業承継に関連する株式や相続の問題のことなど、お気軽に当事務所までお問い合わせください。

 


北海道胆振東部地震の影響で住宅ローンや借金の支払いが困難な方へ

2018年09月18日

自然災害被災者債務整理ガイドラインという方法があります

平成30年北海道胆振東部地震の被害に遭われた皆様に、謹んでお見舞い申し上げます。

被災地の一日も早い復旧と、被害に遭われた皆様の健康を心よりお祈り申し上げます。

 

当事務所は、北海道の法律事務所として、被害に遭われた皆様を少しでもサポートできればと考えております。

そこで、情報提供として、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」(以下「ガイドライン」と言います。)という制度を簡単に紹介させて頂きます。

今回の震災により、住宅ローンや事業性ローンなどを返済できない状況に陥ってしまった被災者の方々がいらっしゃることと思います。

そのような場合に、ガイドラインという特別な制度を用いて債務整理をすることのできる可能性があります。

 

様々なメリットのある自然災害被災者債務整理ガイドライン

返済困難なローン等を整理する債務整理の方法として、ガイドラインを用いることは、新たな融資を受けたり、自己破産をするよりもメリットのある可能性が高いです。

まず、自己破産をするよりも、手元にたくさんの現金や支援金を残せる可能性が高くなります。

次に、通常の債務整理の方法であれば、いわゆるブラックリストと呼ばれる信用情報機関に載ることとなりますが、ガイドラインを用いればブラックリストに載ることを回避できます。

さらに、ガイドラインを用いれば、原則として保証人への請求も回避することができます。

以上のメリットが考えられることから、震災によりローン等の返済が困難になった場合、ガイドラインを用いて債務整理を行うことを是非ご検討頂きたいと思います。

 

手続きの流れ〜登録支援専門家の支援を受けながら手続きを進める〜

ガイドラインの手続きを希望される場合、まず、最も多額のローンを借りている金融機関などへ、ガイドラインの手続きへの着手を希望することを申し出ます。

金融機関等の同意が得られた後、その金融機関等から弁護士会などを通じて、弁護士等の「登録支援専門家」が選任されます。

この登録支援専門家の支援を受けながら金融機関等と協議を行い、合意内容がまとまれば、簡易裁判所での特定調停という手続きで合意を完了させるという流れになります。

この「登録支援専門家」は、弁護士の場合、弁護士会を通じて弁護士が選任されますので、ご本人が特定の弁護士を選ぶことはできませんが、登録支援専門家の費用は国が負担してくれるという大きなメリットがあります。

 

以上、簡単ではありますが、震災に遭い、ローンの返済に頭を悩ませる皆様にとって、少しでも有益な情報になればと思い、情報提供をさせて頂きました。

当事務所の弁護士徳満も、札幌弁護士会を通じて開催される被災地での無料法律相談会や、電話相談を随時担当し、被災者の皆様へ微力ながらリーガルサービスを提供させて頂く所存です。

末筆となりますが、被災地の一日も早い復旧を重ねて心よりお祈り申し上げます。


高齢者の詐欺被害を防ぐための家族信託の活用

2018年08月28日

無くならない高齢者を狙う詐欺

先日、札幌市で架空請求はがきが急増しているとの報道がなされました。

架空請求はがきとは、実在しない機関が「訴訟最終告知のお知らせ」などのタイトルで内容不明の架空の料金を支払うよう求めるはがきです。

はがきには、裁判用語や法律用語のような文字が並びますが、弁護士が見れば即座におかしな記載内容であることが分かります。

しかし、このような架空請求はがきに不安を煽られ、つい現金を送ってしまったなどの被害が相次いでいます。

札幌市の消費生活相談で架空請求はがきの相談をした相談者のうち、4割近くが60代以上とのことです。

架空請求詐欺の他、オレオレ詐欺や還付金詐欺、金融商品等取引名目の詐欺などの「特殊詐欺」全体で見ると、被害者のうちの75.7%が65歳以上の高齢者というデータもあります。オレオレ詐欺に至っては、被害者のうち96.8%が高齢者となっています。

昔から高齢者を狙う詐欺は存在しましたが、現代においても高齢者の詐欺被害は無くならず、逆に新たな手口の詐欺が出現しているという実情があります。

「私が詐欺なんて遭うはずがない。」と主張する強気な方もいらっしゃいますが、詐欺は非常に巧妙な手口のものがあり、他方で、人間は高齢になれば誰しも判断能力が鈍るものです。強気だった方が高額の詐欺被害に遭うことは珍しくありません。

 

被害に遭ってからの対応では遅すぎる

特殊詐欺などの悪質な詐欺被害について共通して言えることは、被害に遭った後に被害回復を図るのは非常に困難であるということです。

何故ならば、特殊詐欺を行う犯罪者は、犯罪であることを承知の上で足が付かないように対策を練り、騙し取った金銭を用意周到に確保してしまうからです。

もちろん警察の捜査によって犯人が逮捕されることもありますが、逮捕されたとしても、被害弁償をする金銭を犯人がもはや保有していないという恐れが大きいです。

したがって、高齢者が実際に特殊詐欺の被害に遭ってから対応するというのでは遅く、被害に遭う前に、しっかりと対策を立てておくことが極めて重要と言えます。

 

高齢者の詐欺被害を防ぐために家族信託の活用を考える

それでは、事前対策としてどのような方法が考えられるでしょうか。

例えば、振り込め詐欺防止のための機能の付いた電話機を用いるということも、一つの対策方法でしょう。

しかし、電話の機能だけであらゆる詐欺への対策とするのは難しいと思われます。

高齢者の詐欺被害を防ぐため、昨今注目されている対策方法の一つが「家族信託」という方法です。

家族信託とは、信頼する家族に対して財産の管理を任せることです。

口約束で任せるものではなく、正式に家族信託についての契約書を取り交わします。どのような行為を託すのかということも、その契約書の中で定めることができます。

また、全ての財産を家族に任せなければならないわけではなく、一部の財産だけの管理を任せるという内容にすることも可能です。家族信託の対象外とした財産については、これまでどおり自分で管理することができます。

さらに、家族がきちんと管理してくれるか不安な場合は、弁護士などの専門家を「信託監督人」に設定し、その専門家に監督してもらうこともできます。

以上のような家族信託を活用することで、判断能力が低下してきた高齢者が特殊詐欺の標的になったとしても、管理を託された家族がしっかりと守ることができます。

れまでコツコツと貯めてきた資産を守るため、親が詐欺被害に遭うことを防ぐため、対策方法の一つとして、家族信託をご検討ください。

当事務所では、家族信託や成年後見に関するご相談を承っております。どうぞお気軽にお問い合わせください。

 


在宅捜査を受けている場合に弁護士に相談するタイミング

2018年08月08日

在宅捜査はいつまでも続くわけではない

刑事事件の捜査がなされる場合、必ずしも逮捕や勾留の手続きによって身柄を拘束された状態が続くわけではなく、在宅のまま捜査がなされることがあります。

在宅捜査は、普段の生活を送りながら、任意の呼び出しがあった際に、警察署や検察庁へ出頭して取り調べを受けるという形になります。

身柄が拘束されたまま取り調べを受ける場合と異なり、在宅での捜査は比較的ゆっくりと進行することも多いです。

在宅捜査を受けている方から、「なかなか警察からの呼び出しの連絡が来ないのですが」という相談を頂くこともよくあります。

しかしながら、ゆっくりと進行しているからといって在宅捜査がいつまでも続くわけではありません。

何も対応しないままただ捜査が進行するのを待っていると、後で大変な後悔をすることになるかもしれません。

 

刑事弁護活動は早ければ早いほど良いケースがほとんど

上記のとおり、在宅捜査はいつまでも続くわけではありません。

通常、警察での捜査が完了すれば検察庁に事件が送られますが(送検)、その後、検察庁で想像以上に早く処分が下るということもあります。

弁護士に刑事弁護を依頼する場合、弁護人(刑事弁護を行う弁護士の立場を「弁護人」と言います。)はこのような限られた時間の中で刑事弁護活動を行うこととなります。

したがって、弁護士への相談が遅れれば、方針の検討や準備などを含む弁護活動を十分に行えない恐れが生じます。

逆に、早い段階で弁護士へ相談すれば、相談を受けた弁護士としても余裕を持って対応することができます。

逮捕勾留によって身柄を拘束されている場合は当然ですが、在宅で捜査を受けている場合であっても、早期に弁護士へ相談されることをお勧めします。

 

被害者がいる刑事事件は特に対応に注意

事実関係に争いの無い場合、刑事事件の対応で最も重要なのは、被害者への対応です。

刑事事件の中には、覚せい剤の自己使用など、被害者のいない犯罪もあります。

しかし、被害者のいる刑事事件においては、被害者との間で示談が成立しているか否か、その示談内容はどのようなものかなどの点が、最終的な処分の決定に大きく影響します。

また、加害者自身の更生のためにも、被害者に対してきっちりと謝罪し、必要な賠償を行うことは重要でしょう。

そして、被害者に対して謝罪や示談交渉を行うのであれば、対応が遅れないように特に注意する必要があります。

なぜなら、謝罪や示談交渉が速やかに完了するとは限らず、ある程度の時間を要するケースもあるからです。

弁護人から検察庁へ示談交渉中であることを伝えているにもかかわらず、交渉結果を無視して処分が下されてしまうということは無いですが、余裕をもって対応を開始するのが望ましいです。

また、対応が遅れれば、被害者側から「何故こんなにも謝罪や示談に関する申し出が遅れたのか」という疑問を抱かれてしまうこともあります。

やってしまったことについては深く反省し、速やかに謝罪等の必要な対応をしていくことが刑事事件では重要になるのです。

ただ、刑事事件では、被害者側の意向として、加害者とは直接連絡を取りたくないというケースがほとんどです。

したがって、弁護人を通じて謝罪文の送付や示談交渉を行うこととなります。

また、当然ながら、弁護人は随時、警察署や検察庁とのやりとりにも対応します。

当事務所では、刑事事件・少年事件について、捜査を受けている本人やそのご家族からのご相談を初回無料で承っております(夜間や土日祝のご相談は30分あたり5000円(税別)の相談料が発生しますが、相談の結果、正式にご依頼頂いた場合は相談料無料となります)。

在宅捜査を受けているけれども、しっかり対応したいという方は、まずは当事務所の弁護士へご相談ください。


北海道の方が交通事故に遭ったときの相談先

2018年07月13日

交通事故で怪我をしたときは弁護士への相談を選択肢に入れよう

交通事故が起きた場合、まず警察に届け出て、救急車を呼び、その後保険会社や保険代理店へ連絡するということが一般的であると思います。

その後、被害者は、加害者側の保険会社の担当者とやりとりをすることになります。

それでは、このようなやりとりをする中で、弁護士に相談する被害者の方はどのくらいいるでしょうか。

加害者側は、保険会社が示談代行で対応します。

しかし、被害者側は、自分で加害者側の保険会社とやりとりをしなければなりません

被害者が家族や友人に相談するということはよくあると思いますが、弁護士への相談を選択する方は少ないかもしれません。

しかしながら、交通事故で怪我を負った場合や、さらには後遺症まで残るような大怪我であった場合、損害賠償金は大きな問題となります。

法律の専門家であり、代理人として保険会社と交渉することができる弁護士への相談を必ず検討しましょう。

 

 

弁護士に相談するときの北海道特有の問題

いざ弁護士へ相談しようという時、札幌市内にお住まいであれば、近くに法律事務所はたくさんあると思います。

しかしながら、北海道内で都市部から離れた場所に住んでいる方は、近くの法律事務所を探すことはなかなか難しいかもしれません。

交通事故で大きな怪我をし、遠出をすることが困難な状態であれば、遠方の法律事務所へ赴くことは大変な苦労になってしまいます。

「北海道はでっかいどう」などという言葉もありますが、北海道はとても広いため、移動距離が長いという北海道特有の問題が、弁護士へ相談する上で支障となってしまいます。

当事務所では、海道内全域へ弁護士による出張相談に対応いたします。

交通費のご負担は頂きますが、後遺障害等級の認定を受けている場合など、出張日当や相談料を無料とさせて頂ける場合がございますので、まずはお気軽に当事務所までお問い合わせください。

また、後述の弁護士費用特約により、弁護士の出張相談について、出張日当や交通費の全てを保険で賄えることもあります。

 

弁護士費用特約の確認は必須

交通事故の被害に遭った場合、必ずご確認頂きたいのが「弁護士費用特約」の適用が無いかどうかです。

弁護士費用特約とは、交通事故の被害に遭った時、弁護士に相談する際に発生した法律相談費用や、弁護士に示談交渉や訴訟を依頼する際に発生した弁護士費用を保険会社が補償してくれるという内容の、自動車保険の特約です。

前述の出張日当や交通費についても保険会社が負担してくれます。

弁護士費用特約を利用することにより、ほとんどのケースにおいて弁護士費用を自己負担しなくても済むことになります。

また、弁護士費用特約を利用しても、自動車保険の保険料が上がってしまうということもありません(もっとも、保険の約款内容は様々ですので、念のため、保険会社や保険代理店にご確認ください)。

弁護士費用特約について見落としがちなのは、自分が入っている自動車保険以外でも、弁護士費用特約を利用できる場合があるという点です。

例えば、自分の自動車保険に弁護士費用特約が付いていなくとも、同居している親族の自動車保険に付いている弁護士費用特約を利用できることがあります。

未婚の方の場合、親と同居していなくとも、実家に住む親の自動車保険に付いている弁護士費用特約を利用できるということもあります。

利用できる弁護士費用特約が無いかどうか、交通事故の被害に遭った時には必ず確認されることをお勧めします。

 

 

適切な解決をするための弁護士への依頼

弁護士に依頼するというと、「そこまで大ごとにしたくない」「クレームをつけるようで気が引ける」と考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、弁護士への依頼は、適切な解決をするための手段であり、決して不当に揉めごとを起こす行為ではありません。

したがって、適切な解決を望んでおられるのであれば、堂々と弁護士に依頼すれば良いのです。

また、自分で保険会社の担当者と交渉をすることにより、精神的に疲弊してしまう方もたくさんいらっしゃいます。

交渉の窓口になってもらいたいという理由で弁護士に依頼しても良いのです。

「通院の打ち切りを言い渡されたけれども、後遺症が残りそうで不安だな」「賠償案の提示がされたけれども、このまま示談しても良いのだろうか」「保険会社とやりとりをするのが疲れた」などの悩みを抱えておられる皆様、当事務所の弁護士へどうぞお気軽にご相談ください。


離婚手続きをそのまま進めて大丈夫?離婚の際に押さえるべきポイント

2018年07月03日

ドラマとは違う、理想的な離婚の仕方

離婚の手続きというと皆さんはどんなものを想像するでしょうか?

ドラマを観ていると、妻が夫に「離婚届にハンコを押しておいたから。あなたも押印して役所に出しておいてちょうだい。」などと告げているシーンがよく流れています。

「結婚するときは婚姻届を書いて役所に出しているのだから、離婚するときも離婚届を書いて役所に出すだけ」などというイメージを持っていないでしょうか?

確かに、夫婦でお互いが離婚届を書いて役所に提出すれば、離婚は成立します。

しかし、本当にそのまま離婚届を提出しても大丈夫でしょうか?

何も決めないで離婚届を提出した場合、その後に大変な思いをすることになるかもしれません。

例えば、平成28年度の厚生労働省の調査によれば、元夫から「現在も養育費を受けている」と回答した母子世帯の母親は24.3%にとどまっています。

他方で、元夫から「養育費を受けたことがない」と回答した母子世帯の母親は56%にのぼります。

半分以上の母子世帯が、元夫から一度も養育費を受けることができていないのです。

このような事態を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか。

養育費だけ口約束をしておけば大丈夫でしょうか?

口約束では不安なので自分たちで念書を作っておけばいいのでしょうか?

そもそも何をどこまで取り決めておくべきなのでしょうか?

 

離婚手続きの際に見落としてはいけないポイント

色々な考え方があると思いますが、離婚の際に考えなければならない基本事項として、①子どものこと、②お金のこと、③環境(特に住む場所)のこと、の3つが挙げられます。

①子どものこと

未成年の子がいる場合、親権を必ず決めなければなりません(逆に言うと、親権さえ決めれば離婚届の提出は制度上可能です。このようなシステムは見直されるべきではないかと思います)。

しかし、離婚後、親権者ではない方の親が、子どもと今後どのように面会交流を行うのかという点も見落としてはいけません。

抽象的な定め方をすることも多いですが、面会交流の点を頭に入れておくことが大事です。

②お金のこと

実際上、最も大きな問題がお金のことです。

大きく分けると、養育費、財産分与、慰謝料の3点です。

特に養育費は、将来に渡って月々支払ってもらうことが通常であるため、金額や内容をどうするのか、いつまで支払ってもらうのか、どのような手続きで取り決めるのかなど、慎重に検討する必要があります。

財産分与は、事案にもよりけりですが、計算が複雑になることが多い項目です。

あまり知られていない基本的な考え方が、財産分与は、個別の財産ごとに計算するのではなく、夫婦それぞれの財産全体を比較して計算するという点です。

「自宅を半分に分けないといけないのですか」「この生命保険はもらえますか」などのご相談をよく頂きますが、個別の財産ごとに判断するのではなく、財産分与の金額は、あくまで財産全体を比較して計算します。

財産分与に似た考え方の制度として、年金分割というものがあります。これも見落とさないように注意が必要です。

慰謝料は、ドラマやワイドショーなどでよく耳にするかもしれませんが、離婚の際に必ず発生するというものではありません。

不貞行為など、慰謝料の発生原因がある場合に検討することになります。

ただ、慰謝料の発生原因がなくとも、解決金などの形で、交渉によって事実上金銭を取得できることもあります。

③環境のこと

離婚後の環境、特に住む場所をそれぞれどうするかという点は、しばしば大きな問題になります。

どちらが家を出るのか、実家に住むのかマンションを借りるのか、子どもの学校はどうするのかなど、環境の問題は生活に直結するため、見過ごせない問題です。

問題となりやすい一つのケースとして、住宅ローンの残っている自宅を所有している場合が挙げられます。

住宅ローンをどうするのか、自宅を売るのか残すのか、残すのであれば誰が住むのかなど、様々な問題が生じます。

自宅の価値よりも住宅ローン残額の方が大きいいわゆるオーバーローン状態である場合や、夫婦それぞれが自宅の共有持分を保有している場合、夫婦で連帯債務を負っている、あるいは他方が連帯保証人となっているなどの場合、問題はより一層複雑になります。

 

離婚条件の判断や手続きの選択は難しい

以上のとおり、離婚の手続きは「離婚届にハンコを押しておいたから。」などと簡単に済ませるようなものではなく、見落としてはいけない様々なポイントがあることをお分かり頂けたかと思います。

そして、それぞれが複雑で難しいものであるということがイメージできたかと思います。

また、それぞれの内容だけでなく、どのような手続きで取り決めれば良いかという判断も難しいものです。

離婚の手続きは大きく分けて、協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つがありますが、手続きの特徴を正確に踏まえた上で方針を選択するには、専門的な知識を要します。

当事務所では、離婚問題や不貞慰謝料の問題について初回無料相談を実施しております(営業時間外でのご相談は有料となりますが、その場で正式依頼となった場合には相談料は頂きません)。

離婚した後に後悔してしまうという事態を招かないために、まずはお気軽に当事務所の弁護士へご相談ください。

 


借金問題・債務整理のご相談はお早めに

2018年06月26日

借金問題・債務整理のご相談は早ければ早いほど良い

借金の返済に悩む日々を送っている方は、いつの段階で弁護士の元へ相談に行かなければならないのでしょうか。

カードローンの返済やクレジットカードのリボ払いに悩んでいたとしても、弁護士への相談にはなかなか踏み切れないものです。

確かに、しっかりと計画を立てて自力で返済できるのであれば、弁護士に相談する必要はありません。

しかし、もし借金の返済をするためにさらに借金をするという自転車操業状態に陥っているのであれば、速やかに弁護士に債務整理の相談をされることを強くお勧めします。

自転車操業状態に陥っているのであれば、「いつの段階」などと悠長なことを考えている場合ではなく、すぐに弁護士の元へ相談に来てください。

完済の目処も立たないまま借りたり返したりを続ければ、借金は雪だるま方式に増えていき、状況は悪化する一方です。

 

相談が遅れれば選択肢が狭くなり、リスクも大きくなる

債務整理の方法には、大きく分けて、任意整理・個人再生・自己破産の3つがあります。

任意整理は、柔軟な対応が可能であるなどのメリットがありますが、債務整理の相談が遅れ、借金総額が大きく膨れ上がっている場合、任意整理の手段を選ぶことは難しくなります。

また、例えば、何とか返済資金を作ろうとしてギャンブルに手を出してしまうであるとか、クレジットカードの現金化の勧誘に乗ってしまうであるとかの行動に出た場合、いざ債務整理を進める際に問題視され、手続きが上手く進まなくなる原因にもなり得ます。

自転車操業状態に陥っている場合、自分自身で何とかしようとしても空回りし、さらに状況を悪化させてしまうというケースがほとんどです。

状況を悪化させてしまった後になってようやく弁護士に相談することになれば、債務整理の手段として選べる選択肢は狭まり、手続きを進めていく上でのリスクも大きくなってしまうのです。

 

相談先は債務整理の経験豊富な弁護士が断然おすすめ

借金問題・債務整理について専門家に相談したいと考えた場合、債務整理について経験が豊富な弁護士に相談することをお勧めします。

また、自己破産や個人再生は裁判所に申し立てる手続きですが、裁判所によって運用が異なる部分もありますので、北海道の方であれば、北海道の裁判所の運用をよく知る北海道の弁護士に相談するのが良いでしょう。

当事務所の弁護士は、北海道で数百件という数の債務整理案件を取り扱ってきましたので、安心してご相談ください。

また、当事務所では、債務整理のご相談について、相談料を初回無料とさせて頂いておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

どうしようもなくなった借金の問題は、一人で悩み続けていても解決することはありません。

当事務所がサポートさせて頂きますので、しっかりと債務整理を行い、借金に悩まされない新しい人生をスタートさせましょう。


「家族信託」をご存知ですか?

2018年06月08日

「家族信託」って何?

皆さんは「家族信託」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

「終活」という言葉が流行していますが、その終活の方法の一つとして、「家族信託」という手法が最近注目を集めています。

「成年後見制度と比べて、家族信託は柔軟な対策ができる。」「家族信託で遺言としての機能も果たせる。」などの話を聞いたことがあるかもしれません。

それでは、そもそも「家族信託」とは一体何なのでしょうか。

 

家族信託は、信頼する家族へ財産を託すこと

「家族信託」とは、簡単に言うと、信頼する家族に対して自分の財産を託すことです。

家族に託すので、「家族信託」と言われています。

託す財産というのは、例えば、預貯金や不動産、株式などです。

「託す」と言っても、「任せたからね。」と口頭で伝えるだけではありません。

正式に家族信託についての契約書を取り交わすことになります。

どのような行為を託すのかということも、契約書の中できちんと定めることになります。

例えば、その財産の管理だけを任せるのか、売却などの処分も任せるのか、さらには資産運用まで任せるのか、託す内容について詳しく契約書の中で定めます。

 

 

家族信託はどういう時に利用するの?

では、家族信託が利用されるのはどういう場合でしょうか。

例えば、持ち家で一人暮らしをしている親が、将来、認知症等で判断能力が低下した時には、高齢者向け施設に入居する可能性があるというケースを考えてみましょう。

高齢者向け施設に入居する際には、親は自分の持ち家を売って施設の費用や医療費、介護費等に充てたいと考えています。

ところが、持ち家を売るべき状況になったとしても、認知症発症によりすでに判断能力が低下していれば、家の売却手続きを行うことはできません。

親の持ち家ですので、子が代わりに売却手続きをすることもできません

成年後見人の選任を裁判所に申し立てて対応するという方法もありますが、手続きの手間や時間、費用の負担が家族に生じる上に、家族以外の第三者(専門職)が成年後見人に選任される可能性もあります。

そこで、あらかじめ持ち家の管理や処分を信頼できる子に託す「家族信託」が有効な選択肢の一つとなります。

信託を受けた子は、親に代わって親の持ち家を売却することが可能になります。

そして、その売却代金から、親の生活や医療、介護等の費用を支払ってもらうように、子に管理を任せることができます。

このような家族信託の活用により、親は、自分が認知症になってしまった時も安心して暮らすことができます

また、子にとっても、実家の管理や処分をスムーズに行うことができるという大きなメリットがあります。

親には、「子を信頼しているけれども、自分が認知症になった後もきちんとやってくれるのか少し不安だな。」という気持ちもあるかもしれません。

その場合、家族信託契約の中で、子がきちんと財産管理等をしているのかを監督してくれる「信託監督人」を設定することもできます。

信託監督人には、家族信託に詳しい弁護士等の専門家を設定することが望ましいでしょう。

 

家族信託には遺言機能を持たせることもできる

ご説明した例はいわゆる認知症対策ですが、家族信託の活用方法のごく一例に過ぎません。

家族信託は認知症対策だけでなく、親が亡くなった後の遺言書としての機能を発揮することもできます。

親が亡くなると、通常、家族信託契約は終了し、子が親のために財産管理等をする任務は終了します。

家族信託の契約において、信託終了後に残った親の財産(これを「残余財産」と言います。)を誰に帰属させるのかという点を、あらかじめ決めておくことができるのです。

このように、家族信託契約に遺言書のような機能を持たせることもできるのです。

他にも、アパート経営をされている方の承継対策、相続対策としてのマンション建築、孫世代までの資産承継対策、さらにはペットの信託など、家族信託は様々なご要望に応えることができる魅力的なツールとなっています。

 

家族信託について是非ご相談ください

ご説明したとおり、家族信託は単なる口約束ではなく、正式に契約書を取り交わすことが必要となります。

もちろん、単に契約書を取り交わせばいいというだけではなく、どのような信託の形とするのか、その計画段階から慎重に吟味する必要があります。

したがって、家族信託を計画し、契約等の手続きを行うためには、家族信託に精通した専門家のサポートが不可欠となります。

また、家族信託の契約を取り交わした後も、信託監督人として弁護士等の専門家を置くことが望ましいケースもあります。

家族信託を計画し、実行していくには、専門家の力が必須となるのです。

当事務所の弁護士徳満は、成年後見や相続の案件を取り扱っているだけでなく、一般社団法人家族信託普及協会より家族信託専門士の認定も受けております。

成年後見や相続についてはもちろんですが、家族信託についても、ぜひ当事務所へご相談ください